2007年06月05日

「日本の記者はいろんなことを知っている」ということに対する反論

ほかに書きたいこともあるのでできるだけ簡単に済ませたいのだけれどまた長くなるかもしれなくて.......まぁその辺は鋭意努力します。

 えーっと、まずはこの辺から


切込隊長BLOG(ブログ): 新聞社OBに「ネットの言論はクズだ」とボコられる


 例の河内さんの本関連で、「ネットの言論は薄いね」ってのと絡んで「例の河内本もたいしたことないよね(踏み込みが足りないよね)」ってことで関係者っぽい人のAmazonレビューが話題になってるみたいです。(孫引用)


Amazon.co.jp: 新聞社―破綻したビジネスモデル: 本: 河内 孝


1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。

新聞記者は社長になるべからず, 2007/6/4
レビュアー: 佐藤雄司 (北海道札幌市) - レビューをすべて見る
北海道の某新聞社の営業に20年以上勤務し、その経営のいい加減さに呆れて退職した私とってみれば本書も「エリート新聞記者の戯言」としか思えぬ販売店と新聞社の爛れた関係、クライアントと広告代理店と新聞社の常人では理解できないあり方について告発するつもりはないがとどのつまりは理想論を振りかざして見てみぬふりをする新聞記者上がりの幹部連中に問題がある。金と経営について無知な著者のような人間が経営幹部である以上、新聞などというアナクロマスコミュニケーションに未来などある筈がない。あくまで架空の数字(部数や売り上げ)を計上することに腐心している新聞社の現状は架空の視聴率に踊らされているTV業界や出鱈目な部数に振り回されている出版業界と五十歩百歩だ。「新聞に未来はあるのか」ある、と少しでも思っていたら20年以上勤めた会社を辞めたりはしない。重要なことは本書の終わりで著者が語っているとおり、「記者上がりを社長にしないこと」それに尽きる。

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次作は生の事実を, 2007/6/3
レビュアー: あまカラ - レビューをすべて見る
 毎日、産経、中日の三社連携案など、面白く読んだ。他の読者が挙げていない点を指摘しておきたい。

 著者が毎日新聞社の常務取締役を退任した理由があとがきに書かれているのだが、奥歯に物が挟まったような書きかたでよくわからないのだ。毎日新聞社内で販売に関する新たな改革案を提示し、激しい抵抗に逢い挫折したようだが、詳細は不明だ。著者は冒頭で本書は暴露本でも内部告発でもない、としているのだが、やはり著者が直面した事実こそが、一般論よりもはるかに面白い部分ではなかったか、との思いはぬぐえないのだ。いわばマグロのトロだけ食い逃したような気持ち。

 関係者に迷惑をかけたくない、という気持ちはわかるが、それでは結局あたりさわりのないことしか書けないマスメディアと同じではないか。本書で著者は新聞社の販売局は伏魔殿といわれていると書いている。時期を置いて、今度は伏魔殿とぶつかった生の事実を語って欲しい。



 あぁ、たしかに踏みこんどるなぁ。上がった人間(もしくは「上がり」しか狙ってない人間)の考えってある時期からアッチ方向に行くらしいもんなぁ(そんであんな感じの社説を書くようになる)。

 そんなことを思いつつ、「内部的な視点が足りないってことかなぁ」、とかなんとか思って読み進めるに.....どうも....ちょっと違う?


 確かに、ネットで流通している、ネット上で読める議論と、彼らの目線はレベルが違う。新聞記者も二十年選手になってくると吸収する力も衰えてくるし、新しいモノの見方も合点がいかなくなる、でも、ネットでいくら良質だとされる議論でもバラして構造を見るとまだその程度のレベルなのか、ということになってくる。



 この書き方だと当該の本に関する問題(新聞業界内部構造批判)だけではなく、「社会全般に関する目線が違うのだ」、ってことみたいだけど....そうなのかなぁ。。


 そんなことを思っていたところに別件からクロスフィード


ガ島通信 - 『ウィニーこそ史上最強の「ジャーナリスト」?』という記事について


 ガ島さんのエントリの主旨は分かるんですよ。「ジャーナリズムってのはツールとかデータ以前にそれ(information)を読み解くinsightが必要でそれらの綜合によってintelligenceが完成する」、って話ですよね?

 それは基本です。


 で、気になったところなんですけど、


ウィニーとは情報を集める手段であり、重要なことは目的です。武田氏自身も少し書いていますが、データが意味を持つのではなく、そのデータにある意味を見出すのがジャーナリストの仕事であり、真贋を見破るリテラシーこそジャーナリストに必要な資質なのです。そうであれば、『ライバルはウィニー』ではなく、ネット上にある情報を集め、分析しているブロガーであり、掲示板のユーザーでしょう。



 ってことなんですが、当blogで散々問題にしているようにその視点自体が疑われているのですが?(まぁ、別にガ島さんはこちらを覗いたことないのだろうから「そんなのしらねぇよ」ってことだろうけど)

muse-A-muse 2nd: (いまさらながら)OhmyNewsの「あるある」問題検証記事を見たよ


 こちらでも出てきたように国内メディアの取材方法って「○○ありき」って感じじゃないですか? まず記者が対象に対するステレオタイプ的なシナリオを作り上げ、それに合うようなソースを集めてくる。こんな感じですね


H-Yamaguchi.net: 新聞記者はえらい、という話


 ↑は特殊例であり、ぼくのところで出てきたのもTVメディアかつ「一部の特殊な制作会社」ということかもしれないけれど、ぼくは業界全体の構造的問題として捉えています。

 失礼ながらガ島さんはステレオタイプの意味をきちんと理解できていますか? 同様にメディアリテラシーというものについて誤解されているように思います。メディアリテラシーについて、よろしければこちらをご覧ください。(「<本来のMLは相手をこき下ろすためのネタ>ではなく<効果的に批評するための視点>」という話です)


muse-A-muse 2nd: 「<批評>そのものへ」?


 この問題はそのままジャーナリズムとアカデミズムの間のキャズム(笑)にも関連してくるように思います。


muse-A-muse 2nd: レッスルするアカデミズム? (学問とジャーナリズムの間)


 アカデミズムにも問題があるように思うのですが、あなた方ジャーナリスト(というかガ島さんは現役ではないけれど)はアカデミックな視点、もしくはより高度な分析手法・視点を学ぼうとしたことはあるのですか?

 対象を取材する際にその周辺情報を洗う、おそろしく膨大な情報を一息に吸収する努力というのはなんとなくうかがい知れます。あるいは、学究的な視点をもたなくても優れたジャーナリズムを完成させたり、それ以前の優れた視点を持つことは可能なように思います。

 たとえば北海道新聞の高田さんの視点には敬服し、ちょこちょこ拝見しているのですが....


ニュースの現場で考えること


(そういえば高木さんのエントリの後段で北海道新聞がどうとか言ってましたね)


 佐々木さんがちょこちょこ批判されてたように、現在の国内ジャーナリズムの一部が「相対性に欠けた視点」を持ち、突っ込んだ取材・論評ができていないのではないか、という疑念は常につきまとってます。

 「相対性」ということに関して言えば、「ジャーナリズムに対して批判が集中するばかりで優れたジャーナリズムに対する評価がない」というのはフェアじゃないように思うのですが、メディアリテラシーの話題と重複するので長くは語りません。

 ただ以前にも書いたように、ジャーナリズムという活動そのものも原初的には批評活動と言えるのです。


muse-A-muse 2nd: ジャーナリズムとはなにか?(2):批評としてのジャーナリズム


 そして、そこでは「批評家」が文芸と社会に関わらず論評をしていて、(プロフェッショナル)ジャーナリズムの場合はその中で「社会」に特化したところが商業的に囲い込まれていっただけのことです。

(だから、武田さんの記事では「プロのジャーナリストたち」(商業ジャーナリズム)というような表現が使われているわけです)


 

 ガ島さんについては(まだなにか言い足りない気がするけど)だいたいこんな感じで。切込隊長のほうで気になったところから

 「内部問題の告発」という視点に関して。そういえば五号館さんのところでも似たような問題が出ていたなぁ、と


5号館のつぶやき : シンポジウム: 科学研究における「不正」の構造

5号館のつぶやき : すべてが「特殊例」であるハラスメント対応の難しさ



 エントリ全体の主旨としては、<「不正」と言って各研究室を追い詰めてることは是としても、それによって一番被害を受けるのは大学院生だということはあまり知られていない>、ということから大学院生への各種ハラスメントの実情と対策について検討されています。


 特にこの辺の記述は力強かった

40年近くも前のことになる大学での「闘争」の中で、私が得たもっとも重要な教訓のひとつは、「闘うからには勝たなければならない」ということです。「勝つ」ということの中にjは、すべての現世的利益を放棄してもプライドを守り抜くという勝ち方もあると思うのですが、若いうちの闘いにおいて勝つということは、その後のキャリアあるいは生活が保障されるような解決を勝ち取るということが重要だと思っています。





 で、ちょっと思ったんですが、


 まぁ、ここでぼくも切込隊長のところの記者さんのような視点を持ってしまうわけですね。

 「あぁ、たしかにそれは一義的な問題だけど、もうちょっと深いところまで切り込んでないなぁ」、と


 ほのめかさずにいうと、セクハラ・パワハラで糾弾される教員って、その教員の資質だけの問題ではなく学内の権力闘争が関わってくることもあるんですよね。

 大学ってけっこう伏魔殿的なところなので。教授会なんかあまり意味ないのは院生レベル以上を経験した人なら知ってるだろうし、教員のレベルというのもある程度その道を究めていくと分かってしまうものです。

 で、レベルがアレな感じな人たちが生き延びえるために学内闘争もとい学内権力争いに加担するんですね。こんな感じで


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 んで、そういう人たちはけっこう誰でもスネに傷を持つもの(なのかな?)で、学長選のときなんかは子どもだましのデマが飛び交いますね

 それらはデマでもありホントでもある。あるいはお金をかけて作られたホントでもある。

 「セクハラ」「パワハラ」というのは実際にあることではあるのですが、「ハラスメント」まで行かない物件でも学長選などの重要案件が近いときにはそういうものとして仕立て上げられたりするんです。(あるいはその後始末用にね)


 そして、そういうのの影響をもっとも受けるのは院生たちなのであって、その意味ではきちんとした調査が必要なのですが、「大学の自治」を理由に外部からの調査は拒絶する。

 
 本来「大学の自治」というのは「学問の自由」を担保するためのものだと思うのですが、彼らにとっての「大学」とは自分達「教授会」なわけですから学生の権利なんか塵芥に等しい。



 それが「界」としての大学の現状ですが、そういった構造について、ジャーナリズムな人たちはどれほど知っているのでしょうか?




 それを言えばどんなギョーカイにもそれなりのギョーカイ話があるもので、「その部分についてはヤバくて触れられない(出せない)」、ってことなんだろうけど、国内メディアというのはその部分に触れられない(出せない)までもそういった背景があることに配慮して記事を出すべきですよね?


 でも、その辺の配慮はなされていないように思う。これは各ギョーカイの人たちの思いにも共通すると思います。




 それが国内メディアの現状だと思うのですが、どうなんですかね?(ガ島さん)





 あと、別件で


極東ブログ: キンタマウイルスのお仕事はジャーナリズムじゃーない?


 なエントリがあがっていて、「ぼくと違ってきちんと高木さんの言説の内容自体について検討されてるな」、って感じで反省の至りなんですが、「主体の不在」(あるいは偏在)関連で


池田信夫 blog サーバは複製の「主体」か




極東ブログ: ハイデガー「技術論」から考える新しいゲシュテル


 とGoogleNewsあたりを絡ませてなんか書こうかなぁとか思ってるんですが、こちらはけっこう脳力使いそうなのでいまはやめときます(朝だし)


 っつーか、書かないかもしれないし書くかもしれないし........よく分かりません



 まぁ、そんなこんなでいつもどおりぐだぐだーって感じで(再見!)



--
関連:
muse-A-muse 2nd: ネット時代のジャーナリズムの可能性 (raw journalismについて)

※武田さんの論旨を補足。っていうか同じテーマでぼくが書いたらどうなったかということのシミュレート。raw journalismについては「編集不在」ってことで問題あると思うけど、いいたかったのは「内部監査を受けない」ということの可能性です。それだけだと記者にしかメリットはないわけだけど、RMAと関連させて考えると・・・・(未完)






















posted by m_um_u at 06:37 | Comment(1) | TrackBack(0) | メディアこのエントリーを含むはてなブックマーク
この記事へのコメント
 TBありがとうございました。それで飯を食っている人間と、一銭にもならないのに書いているもの好きを比較しても意味がないと思うのですが、そのもの好きは異常な数でいろんなところにいるというところがまさに強みなのだと思います。気まぐれだけど、時々とんでもないストレートが飛び出してくるというのがアマチュア・ジャーナリストの強みでありおもしろさでもあろうと思います。タダなんだから、たとえ万に1つでも重要情報がが飛び出してくれば、十分意味があると思います。
Posted by 5号館のつぶやき at 2007年06月06日 19:49
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