2007年05月29日

「ここ10年でAV女優のレベルは上がった」のか? (+ エロコンテンツ周辺情報まとめ)

 たまにはゆるいエントリもいいかなっていうか、「mixiでエロエントリ書いてるとマイミクの人(♀)が引いてく様子が分かるんだよぉぉぉおお」とか、「エロいものもコンテンツ産業的には重要ですから」などとマスメディア論的な言い訳もはさみつつ、けっきょくは自分が書きたいから書くわけで・・(←純@「北の国から」)


 ってか、きっかけはこれだったわけだけど


金融日記:この10年で日本社会で最も変わったこと


 要約すれば、<ここ10年で一番変わったことと言えばAV女優のレベルが高くなったこと。それによって若い♂が(レベルの低い)一般女性との結婚を拒むようになって結婚率が下がった>、って言っておられるわけだけど、これはネタなのだろうか?

 ネタだとしたら「ネタにマジレスかこわるい」って感じだけど、かこわるくてもかまわないのでマジレスしとこう。

(とりあえず「レベルがあがった=外面的にきれいになった」としてとらえると)

 まず、第一に「ここ10年でAV女優のレベルがあがった」についてだけど、これって「ここ10年」ってわけでもないからね。

 ぶくまでも指摘されてたけど

kokorosha 飯島愛の頃からあった言説。人は何回同じことを言えば満足するのだろう。

(中略)

lakehill ネタ っていうか20年前のAVに於いてもきれいな人やかわいい人はいっぱいとはいわないかもしれないがそれなりにいたぞ。そりゃあ、30年ぐらい前のエロ本はひどかったけど、10年前と30年前を勘違いしてないか?

(中略)

kanimaster ネタ むしろこの10年は停滞している気がする。

lsty 文化, 歴史 たしかにここ10年では停滞してます。「20年」だったら分かる。



 ここで指摘されているようにターニングポイント(メルクマール)はだいたい20年前。ってか、1984年の宇宙企画の躍進によるところが大きかったみたい。(以下、「エロの敵」、雨宮さん担当箇所の一部(p.93-94)より引用)


エロの敵 今、アダルトメディアに起こりつつあること
安田 理央 雨宮 まみ
翔泳社 (2006/09/28)
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アダルトビデオの始まり

 「AV」というものが登場したのは、1981年5月に発売された「ビニ本の女 / 秘奥覗き」「OLワレメ白書 / 熟れた秘園」(日本ビデオ映像)の2作品が最初だと言われている。それ以前にもAVと呼ばれるようなものはあったが、それはにっかつロマンポルノのビデオ版であったり、ラブホテル用のビデオだったりしたため、販売用のビデオということを意識して制作された最初の「AV」はこの2本と言える。
 同年に代々木忠監督・愛染恭子主演の「淫獣のうずき」がリリースされる。その後、代々木監督の「ザ・オナニー」シリーズの大ヒットにより、ポルノ映画とは違うビデオならではの生々しいエロを描き出すメディアとしての、後のAVの一つの方向性が見えてくる。
 当時はまだレンタルビデオ店というものがなく、初期は、裏ビデオなのかAVなのか定かではないが「ビデオデッキを買ってくれたら、これつけますから」と電器屋さんがお父さん向けのオマケとしてつけてくれていたという話も聞く。それでも当時からビデ倫は存在しており、VIPや宇宙企画、KUKIなどビニ本会社から転進したメーカーを含む多くのビデオメーカーが加盟していた。
 しかし、まだその存在はマイナーなもので、「AV = 裏ビデオ」のことだと思っている人も多かった。「洗濯屋ケンちゃん」などの裏ビデオの方が有名で、ビデ倫のAVは逆に「表ビデオ」と呼ばれていたくらいだったのだ。当時のビデ倫はカラミが3分以上続いてはいけないなど、非常に規制が厳しかったため、ポルノ映画の延長のようにしか見られない向きもあったのではないだろうか。


 
美少女AVアイドルブーム

 その後、家庭用ビデオデッキが普及し、1982年末にレンタルビデオ店が登場する。これによりビデオの主流が裏ビデオからビデ倫加盟のAVへと一気に流れが変わり始める。その中で、大きなターニングポイントとなったのが1984年の「ミス本番・田中裕美子 19歳」(宇宙企画)の爆発的なヒットだった。
 これにより、AVの流れは一気に「美少女本番路線」へと切り替わる。若くてカワイイ女のコの普通の本番ビデオというこの路線は、今でこそ普通すぎて一体何が新しいのかよくわからないが、それ以前のAVはSMや痴漢、盗撮など暗い雰囲気の作品が多く、美少女の明るい本番ビデオは珍しかったのである。




 だいたいこんな感じ。

 ついてにいうと、それ以前の裏本(ビニ本)文化が開いていった背景には安保闘争の影響があるとかなんとか。安保の学校辞め組(主に哲学系サブカル?)がアングラな仕事に就くようになって、それがエロなほうに繋がっていったと。たとえばKUKIと天井桟敷、そしてKUKIからYELLOW CABへの流れなんかある。(参照

(そういうわけで例のエロ用語「ザー○ン」なんてのも哲学系ジャーゴンの影響を受けてるわけ。ドイツ語で「種」の意味。哲学系知識の名残だな)

 80年代中期から90年代中期のAVコンテンツ(実際の消費動態)についてはこの辺りに詳しい。


NC-15:日本AV史(1)、(2)

NC-15:日本AV史(3)(4)(5)


 ここ10年はぶくま指摘にもあったように低迷というか安定というか、「似たようなコばっかり出てきて入れ替わりしてるだけ」(女性AV監督談)、みたいなのをなんかでみたけどソース忘れた。思うに一般女性の外面的きれいさの底上げが影響しているのではないか?んで「ふつーのコ」とか「ふつーよりちょっとかわいいコ」とかがふつーにAVに入るようになってきてる、と。でも「このコはすごいオーラを放ってる」って人は現れない。

 あとそんな感じで素材の変化はないので内容が過激な方向に向かっている問題がある。ネットなんかに無修正なものがアップされるので、それに対抗するためにセル系は過激な内容に走るんだけど、そのために女優さんがひどいめにあわされたり・・(ex.バッキー栗山事件)。そしてひどい目にあわされても「AV女優だから」ということでなかなか訴えできなかったり、訴えても真面目に相手されなかったり・・。ここ10年としてはむしろこちらのほうが重要なように思う。


 で、流れとしてはそんな感じなんだけど、「最近の女優さんのレベル」というのは実際のところどのようなものなのか?


 ちょうどニューアキバドットコムにこんなエントリがあがってた


AV女優の名前を当てましょうクイズは意外と難しいぞ! :にゅーあきばどっとこむ


(※乳とか局部出てないのでよい子でも安心して見れるはずだよ!)


 だいたいそんな感じ


 で、こういうのに対してガイジンさんはびっくりするわけ


TOKYOMANGO: Canadian Japanese Porn Star Maria Ozawa


 「・・ふつーにモデルやれるじゃん」、と。
(たしかにこの小澤さんはやけに写真映りいいな)


 んで、欧米圏では日本産エロビデオのことを「HENTAI」って略称してて、けっこうな人気を誇っている。中国でも人気は強くて、勢いあまって政府の広告塔に使用されるくらいだ。

 まぁ、それは冗談としても。外国における日本エロ文化の浸透度ってけっこうなものみたい。直接ガイジンに聞いたことないけど、日本に来るガイジンの頭の中に少なからずそういう意識(「ニポンジョセイハAVジョユーミタイナノバッカダ!」)があるのかもしれない。

(そういやこないだ歌舞伎町で見た中国旅団の行進はすごかったな。すごい目的意識を感じた)


 
 で、それとは別にぶくまコメントで気になったこと

gotanda6 違うね。この10年で最も変わったのは、アイドルが不細工になったこと。AVの方がレベルが断然高い。

(中略)

KGV むしろ、AVの擬似ドキュメンタリー化、バラエティー化といったテレビ化が「女優」であることのハードルをなくしているということがある。


 これは一般タレントの質が下がっているのと同時にAV女優の質が高くなっている(底上げしてる)、ということだろう。いわゆる「フラット化」ってやつ。((C)東っくす)

 こちらでも少し考察したように「フラット化」ということがプロの仕事の質を落とす際の言い訳に使われるとしたらキケンだけど、「境界のあいまい化」というか「多様性に対する閾値の変化」的な現象がそこかしこに見られるのは気になる。

 それはシステムの飽和ということであり、新たなシステムができる可能性を示唆しているのかもしれないけど、多様性うんぬんについてもリンクがたまってるので別項で。


 参入障壁の変化っていうか女性側の心理の変化というのがあるのかも。

 「昔と違って、現在のコはAVやることに対して心理的葛藤がないみたいだねー」、とか


エロ本編集者の憂鬱と希望:大坪ケムタ編『世界が100人のAV女優だったら』(扶桑社)を読む

実際、僕も有名無名にかかわらずAV女優と仕事をしたり話したりする機会が、ほかの人より多い仕事についているのだが、感じることは「普通のコ」ということだ。こうざっくりと書くと、「人前でセックスをして、それで金をもらう職業」をしている人が普通な訳がない、というふうに思われるかもしれない。確かに、親や恋人、友人などにバレるリスクがあり、そういた部分を秘密にしている、というのはある。しかし、それ以外は、ぶっちゃけ、別に普通だ。壊れているとか、精神的に病んでいるとか、家庭環境がやばいとか、極度の貧乏とか、もちろんそういった人もいる。だが、それはAV女優以外でもそういう人はいるのと同じくらいでしかない。借金をしているわけでもなく、精神的におかしくもない、家庭環境も普通で、大学に行きながら、とかOLをしながら、とかでAV女優をしている人は腐るほどいる。僕なんか、フェリスの女子大生を初めてナマで見たのは、パンチラ撮影のときに会った企画のAV女優だった。



 この部分について、社会的な変化と連動させて考えるなら女性の社会進出との関係があるのかな、とかちょっと思う。

 いわゆる「テイシュクなツマ」を要請するイデオロギーに対して、女性が仕事について、その仕事を全うすることによって発言権を持つようになったことによってエゴの部分を表出できるようになり出したのかなぁ、とか。

 働いてお金を稼ぐことによって女性の可処分所得が多くなり、それに伴って女性のエゴ(需要)が肥大/細分化、それ用の市場が増えた、と。

 「エロいもの」というのはタブー的な意識があったので最後の砦的な領域ではあったんだけど、最近になってこの辺が拓けてきてるみたい。

[R30]: 冗談じゃなく、結構ありと思うよ


 女性週刊誌のそれ系特集もそうだし、雨宮さんの「リビドーガールズ」なんてのもその流れだろう。


 これに対して、男性の弱小化問題ってのがある。いわゆる「非モテ」ってやつ。

(「非モテ」の分類としては「モテない」というのと「モテを狙わない」というのがあるけど、このエントリでは「非モテ」を「モテないのであえてモテを狙わない(すっぱいぶどう)」として話を進める。赤木さんのところでたまに出てくる「弱者男性」というキータームでもいい。もしくはこの辺

 「弱者男性」論って正直よくわかんないのであまり突っつきたくないだけど、どうもいじいじして嫌だなぁって感じがある。

 「女性の苦労が分かってんのか?」、と。


 たとえば、まだまだ男社会ってことで「それなりのスキルを身につけなきゃ」と思って学歴なりそれ系のスキル習得にはげんだ女性が周囲の男性から「高学歴女は近寄りがたいね(女のくせに)」扱いされる問題。あと、月のもののしんどさとか・・。そういうのがデフォルトな状況にいる彼女達ががんばってるのに対して、「弱者男性を敬え」とかってよく言えるなぁ、と思う。

 そりゃ「主夫」っていう選択肢もあると思うけど、それを押し付けるのはどうかなぁ、と。(共働きでいいじゃん)

 

 結婚率が下がってるのはこんな感じのマッチングのズレというか、「豊かな社会」の実現による欲望の細分化があるからなのではないか? もっと端的に言ってしまえば、結婚しなくても食ってけるわけだしむしろ楽だ。
(いまはパラサイトとか許容されてるしね)

 「やりたいことたくさんあるので結婚して縛り付けられたくない。人生50年ってわけでもないので結婚したくなったらそのときすればいい」

 そんな感じではないか?
 

 あと、最近の不景気ってのも関係してるかもしれない。「不景気で結婚しない」ってのは「豊かな社会」というのとは矛盾しているのかもしれないけど、欲望(エゴ)の部分だけ豊かになったということかなぁ・・。


(日本は結婚しても特に税制免除とかなさそうだしなぁ・・。家賃その他の基礎生活費は浮くだろうけど ※←不勉強かも)




 
 だいたい以上が主題に対する突っ込み。


 その上で自分的にまとめときたいなと思ったことをこの機会に記しておく。


 雨宮さんの引用箇所にも出てきた「ハード購入の誘因としてのエロコンテンツ」というテーマに関して。

 これはコンテンツ / ハード系では昔からの課題で、「ハード購入の裏の誘因(キラーコンテンツ)というのはエロ」というのはけっこう共通理解だったように思う

「裏本の死」の宣告 息の根を止めたのはネット?|文化|カルチャー|Sankei WEB

 新しいメディアが出るときには、取り締まりの社会的整備ができていないため、そういったものに使われることが多い。新しいメディアにまっさきにのるものは3Aであるといわれている。つまり、ローマ字にすると頭文字にAがつく、「新しい」、「危ない」、「怪しい」内容、つまり性表現や宗教がいかなる時代にも新しいメディアを真っ先に使う。これを新しいメディアの「3Aの原則」というが、「新しい」、「危ない」、「怪しい」に「アダルト」を加えて「4Aの法則」ということもある。宗教も大半は成人が夢中になるからだ。



(加えて言うなら、もっとも「売れる」メディアコンテンツは「Stock」,「Sports」,「Sex」の3Sといわれるらしい(C)桂敬一)


 で、ネット的にはこんな感じ


TechCrunch Japanese アーカイブ » EroShare、ユーザー発信型ポルノ

ポルノはインターネットにおいて依然として収益を上げる産業であり、PornoTubeの成長ぶりから考えると、ユーザー生成タイプのポルノはその中でも健全な成長分野となっているようだ。



TechCrunch Japanese アーカイブ » インターネットポルノの統計


* 89%のポルノは米国製
* $2.84B(28億4千万ドル)の売り上げが2006年に米国ポルノサイトにもたらされた
* 毎秒$89がポルノに費やされている
* ポルノ視聴者の72%は男性
* 260の新たなポルノサイトが毎日生まれている




 でも、最近ではちょっと変わってきてるみたい。「エロの敵」でもちょっと触れてたけど共有メディアによるエロコンテンツの非合法な交換の問題とか、ネットへのアップとかがあるので。それ以外にもこういう流れがある、と

TechCrunch Japanese アーカイブ » インターネットポルノの統計


従来、ポルノ産業が真っ先に新しいことを始め、やがてメインストリームメディアに波及していくのが普通だった。しかしここ数年はユーザー生成コンテンツ、ビデオ共有などウェブで生まれた新しいアイディアは、まずメインストリームで普及し、それからポルノサイトに波及しつつあるようだ。


 「昔はエロが牽引してたけど、いまはエロが付いていっている」という状況らしい。そしてCGMとか共有の流れが思いのほか速いということか。

 どっかの外国記事で、そういう状況があるのでコンテンツ産業に期待するのはムダ、みたいな論説があったけどちょっとタイトル失念した(あとでリンクするかも)。



 市場関連で数字が出たのでついで


2ちゃんねる実況中継 AV女優のギャラ


 いわゆる単体女優な人は1本あたり40〜200万ぐらいか。でも、もろもろ引かれて手取りは1/3、と。あと、ギャラが高くなるほどピンハネ率も高くなるらしい。






 あと、ちょっと思うこととして。


 この分野って日本のコンテンツの中でも数少ない「世界に通用するもの」だと思うんだけど、この部分の開発ってどうなってるんだろうか? 中国辺りにいいように海賊されて黙ってる感じかなぁ。。

 いちおダウンロード販売とかしてるみたいだけど、中国には手を出せないんだよなぁ。

 やっぱ「エロ」ってことで引け目を感じたり、行政側に何か言っても受け付けてくれないんだろうか?


 あと芸能と同じく、っていうか芸能よりもアンダーグラウンドなギョーカイなので経営動向が見えない・・。





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関連:
学校では教えてくれないエロ 番外 エロサイトの傾向編(@増田)

※海外のエロサイト動向について。『どうも特定のエロ会社が提供するサービスではなく、横断的にエロ画像/動画をまとめているサイトが伸びている感じがします。NapsterやWinMXで、エロ画像の探し方も変わったのかもしれません。』、とのこと


J-CAST ニュース : 「料理の鉄人」「風雲!たけし城」 日本の番組が海外で大ヒット

※「料理の鉄人」はだいぶ前からフォーマット売りをしてたように思うけど、オリジナルが受けてるらしい。食通なニューヨーカーの間で受けてるのかなぁ、とか思うけどその辺りは不明。「たけし城」はたけし映画の影響もあるのだろうけど、ああいう分かりやすいコンテンツ(ガイジン受けしそうな視聴者参加型競技)は受けるだろうなぁ、とか思う。(cf.SASUKE)



ITmedia News:「日本のドラマは論外」 希薄なテレビ業界の意識

※デーブ・スペクター氏の指摘がポイントかなぁ、と思う。「ストーリーに工夫がない」とか「演技もよくない」とかいうのは文化差感じてびみょーだけど、「資金をかけてない(かけれない)」というのはそのとおりだなぁ、と。それに比べてアメリカのドラマがお金かけれるのはフィンシンルールなんかとの関係があるからなぁ。。(惰性というか)
後段で吉本興業の話が出てきてるけど、吉本よりは落語のほうがウケがいいような気がする。。(地味に汎用性がある笑いなので)

















posted by m_um_u at 23:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | メディアこのエントリーを含むはてなブックマーク
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