2007年04月29日

当世新聞業界事情 (国内・海外概略)

 なんか、新聞関係のエントリでチラホラと情報がたまったのでまとめて吐き出しておこうと思う。

 その前に。本サイトの新聞関連エントリとしてはこちら


muse-A-muse 2nd: 新聞業界来し方行く末



 ここでも結論が出ているように、従来型の新聞メディアのビジネスモデルというのはもはや時代遅れになってしまっている。でも、日本の新聞業界というのはそういった事態をのほほんとした姿勢で見送ろうとしている、と。

 具体的に、新聞業界の危機的状況というのは、「昨今の購読数の減少+若者層の新聞離れ」、というやつ。この「離れ」というところに驕りがあるわけだが、まぁ、置く。


 そういった現状に対して、「若者層に親和性が高いweb系あるいはモバイル系コンテンツを出していかなきゃね ♪」、ってことでちょっとだけweb部門を増やしてwebに力を入れたりしようとしている姿勢のようなものが少しは見られるのだけれど、やっぱり「少し」って感じだ。

 具体的に言えば、朝日とiza(産経)がrss吐いてるぐらいでほかのとこはアレな感じだったように思うし(※っつーか、ある時点からチェックしてません)、web2.0化も全然って感じだ。izaがかろうじてblog開いてるけど、「だからなに?」って程度の出来だし、ってか、web用のオリジナルコンテンツが乏しくてインパクトに欠ける。


 新聞メディアのwebサイトを使う意味がほとんど感じられないのだ。



 新聞メディアのwebサイトを使う意義というのは具体的に言えばトラックバックセンターのような役割を担うことによってweb上のギロンの集約点として機能することが期待されるが、CGMの悪い部分(混沌かした情報によるサイバーカスケード(いわゆる「炎上」))を防ぐようなweb巧者は新聞社にはいない。

 最近の例だと産経のこんなのとかが歴史的記憶として残っていくのかもしれない(「文芸部」という限定はあるが)。


 ある編集者の気になるノート : 部下のかわりに上司が出てきてますます炎上する、「あじさい日記ブログ」の問題点。



 
 で、



 そういった日本のアレ的な現状というのはひとえに押し紙とか再販制度とか宅配制度とかそういったコンテンツとか経営努力以外の部分への依存によるものだと思うのだけれど、その辺の事情に関連してカトラーさんのところにこんなエントリが出てた。


カトラー:katolerのマーケティング言論: 毎日新聞がソフトバンクに買われる日


 全体の趣旨としては、現在の日本の新聞業界における朝日・読売の二極構造に対して、毎日・産経・中日による合従連衡構想があったらしい、と。

 これはこれとして新聞経営に対して危機感をもってなんらかのアクションを興したということでは評価できると思うんだけど、その計画は破綻したらしい(原因はよくわからんが)。

 んで、新聞業界の危機的状況とかそれに対する対策としては


新聞社のビジネスモデルにとって深刻な危機として、現在の宅配体制を維持することが早晩難しくなるという問題がある。それゆえ新聞をデジタルデータの形で読者の手元に届ける電子新聞の構想は、かなり以前から存在していた。実用化の一歩手前まできているE−ペーパーのようなソリューションが誕生すれば、新聞の発行形態は一気に変わる。地上波テレビも、2011年にデジタル化され、PCとテレビの垣根がなくなり、コンテンツは、メディアのボトルネックを超えて、シームレスに様々な媒体を渡り歩くような時代が到来するだろう。新聞だけが、そうしたメディア状況の蚊帳の外にいられるはずがない。


 ってことで全くその通りだと思う。JMRにもこんな記事出てた。


2011: Terrestrial Digital Broadcasting


 で、

 カトラーさんは最後に「毎日新聞はソフトバンクに買われるべきなのだ」と結論づけておられるが、そういうことなら孫さんと仲良しのマードック(News Corp)に買われたほうが良いように思う。ついでにTBSも(あるいはTBS-テレ朝がくっついた後まとめて)。



 あと、新聞業界がメディアモードの変化を利用できる機会としては電子ペーパーの利用というのが考えられるけど、これもここを主軸とするほどのインパクトは感じられない。iPodほどの衝撃(利便性、ブランド力、マーケティング力)を持っていたら別だけど、いまのところそういう動きは見当たらない。いちおあることはあるけど、日本の新聞業界が絡んでいる姿を見たことがない。(で、カトラーさんが指摘されてるようにone of them的な感じになってマルチメディア・マルチモードの波に飲まれていくのだろう)


 
 で、そういった日本の現状に対して、世界の新聞(っていうかぼくが主にチェックしているのはアメリカのメディア業界だけど)の動きはどうか?



 前半部でもちょこっと言ったけど、アメリカの新聞というのは若年層の紙離れというのを早くから深刻に受け止めて対策を練っている。具体的にはweb2.0化を急いでいる。そして、それと並行する形で新聞メディアのマルチメディア化も。具体的には記事内での動画再生ってやつ。これはWPなんかが主に力を入れてやっていたように思うけど、最近はみんなweb2.0に力を入れてる感じか。

 っつーか、MySpaceの力、それを利用したNewsCorpの躍進が思ったよりすごくてみなさん「自前SNSやらなきゃー」とか「自前YouTube持たなきゃー」って感じだ。で、自前SNSなりYouTubeなり持つわけだけど、機能が同じでもネットワーク外部性(ユーザー数)がないのであまり意味がなかったり・・。


 仕方ないので地味に新聞サイトのeditorialなところとかをblogにして外部からのレスポンス受け付けたりしてる。(参照



 あとはYahooとネットワーク外部性を分け合ってPV増やそうとしたり。んで、その派生効果として署名記者に責任感が出てきてるらしい。なんか、『viewing themselves as producers of new information products for a variety of media』、って感じで。(参照


 Yahoo側としたら単純に植民地なつもりで外部リンク機能を導入したんだと思うんだけど(参照)、おもわぬ派生効果でちょっと面白い。


Yahooの殖民についてはほかにもclaiglistにも手を出したってのがあったけど・・記事消えたな(参照



 あと、Yahooって言ったら対Googleって感じでいちおGoogleの例の広告ネットワークに対抗しようとしてるんだけど、


Viacom、グーグルのライバルとガッチリ握手 at ブログヘラルド


ヤフー、新聞社との提携を拡大--大手のMcClatchyも参加 - CNET Japan


 この辺はどうもGoogleのほうが一枚上手っぽい。




 まぁ、それはいいとして話を戻すと、上記してきた感じでアメリカの新聞メディアってのは国内でも企業努力をしてるわけだけど、国内のそれはどっちかっていうと「守り」みたいな感じでcirculationに直接繋がらないみたいなので、「やっぱ狙うは海外だろう」ってことで登場するのがフラット4ことBRICs。ってか、人口が多くて中間層市場の発展めざましい中国・インドあたりが狙い目、と。


Bloomberg.com: Technolog:India, China Newspaper Shares Surge as U.S. Media Nosedives y


 っつーか、「この際紙メディアの部数減らして中国・インドにはonline勝負でいいじゃん?」、って見方もあるみたい。


 その辺についてはちょうど小林恭子さんのところにも出てたな



小林恭子の英国メディア・ウオッチ  : 「新聞は瀕死状態か?」 英、仏、米の試み


 ロンドンの外国プレス協会で、参加者としては

パネリストとして参加したのは英テレグラフ紙のウイリアム・ルイス編集長、米インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙(本部パリ)の記者エリック・ファナー氏、インドのタイムズ紙のロンドン支局長ラシミー・ロシャンラル氏、フランスの経済日刊紙ラ・トリビューンのアンドレア・モラウスキー氏


 っつーか、テレグラフのルイス編集長がモテモテだったらしいが。



 全体の内容としては上記してきたようなことと被るけど、それ以外のところで気になった点としては、


(1)ほかの新聞社が収入を減らしているのに対して、テレグラフだけが増やしている (購読料か広告か、理由はよく分からない)


(2)



((2)(3)と書こうと思ったが見つからなかった・・)




 っつーか、テレビ業界のボトルネックと同じくさっさとモジュール切ってフレキシブルに連動するようにすればいいのに。新聞市場全体が減ってきてるんだから他社も自社もないだろうに。(まぁ、どっかつぶれなきゃ分からんわなぁ)


 記者の皆さんはいつでも避難できるようにそれなりの覚悟をしといたほうがいいかも。




 あ、そうだ、最後に。インド市場はちょっと前にヤングマードックが目をつけて根回ししてるみたいだった。



Young Murdoch goes hunting for the big one - Business - Business - smh.com.au



 なのでいまから乗り込んでもムダっぽい。(っつーか動画共有と音楽狙いっぽいから新聞は余地あり、か?)。あとこの辺はViacomも狙ってた。




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関連:
メディア・パブ: 米新聞社,今年は一段と厳しくなりそう

※「オンライン売り上げ30%アップ」のベースを切ってしまうのでレイオフに向かわざるを得ないかも、と。やはり順調なのはWSJぐらいらしい(経済紙は強いな)



天漢日乗: 新聞社志望学生の抱く新聞社のイメージジョーク集

※志望学生の視点。皆さんけっこうシニカルに見切ってるみたい。(産経がオチ担当)





posted by m_um_u at 18:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | メディアこのエントリーを含むはてなブックマーク
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