2014年02月21日

マイケル・サンデル、2010、「これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学」



あ、文庫になってら


これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
マイケル サンデル
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遅まきながらサンデルの正義本を読んでみた。ハイエクアンチョコ本で自由 → 公正 → 正義が気になったので。



結論から言うとサンデルの提示する正義や正義の分類には違和感があった。んでもたぶん日本で「リベラル」と名乗る人たちにはフィットしそうな価値観だし、以前の自分だったらサンデルの影響受けてただろうなあと。

途中からだいたい分かってたけどコミュニタリアニズム(美徳、道徳)から功利主義、自由主義に対する誤解が激しいなあ、みたいな。功利主義の方は未だチェックしてないからサンデル的な功利主義=目的主義=設計主義でビミョー感あるけど。

たぶんサンデルの自由主義の理解がフリードマンかなんか(あるいは新自由主義的な単純なあれ)を基本としててそれに対する反動としての道徳-美徳-慣習を持ち出してるように思った。なのでいってることはたぶんハイエクやロックが指摘してた内容と変わらない、というか、より制度、慣習、形式面に退行してるように感じられた。

サンデルが強調する美徳とか人格とかそういう話は前近代的な共同体の価値観で、曖昧な価値観を中心としたそれは日本だと「世間」とかな同調圧として嫌がられるもののはずなんだけど、、そういう批判や違和感を感じる人はいなかったのだろうかこの本がでた当初。。まあそういうのも良い面がでれば美徳として残っていくものがあるのだろうし。。前近代だからといって即座に否定されるものでもないのだろうしな。家族系からの傾向と同じく、そういう価値観も相対的なものだろうから有効な場面もあるだろうし。(なんとなく複数世代同居→年上を重んじ父権の強い権威主義的な家族系だと合いそう(cf.直系家族(日本、ドイツ)、共同体家族(ロシア、中国、アフリカ、インド)

なのでアリストテレスなんかの価値観-美徳の哲学も神の時代の認識に対しては恣意性を低めた自由度の高いものだったのだろうけど、現代にそれをそのまま持ち込むのはどうなのかな?って感じた。もちろんその価値観がフィットする人もいるだろうし、その言説の全体ではなく部分的には共感するところもあるだろうけど。



自分の印象的な認識地図としては

ナチ・全体主義 >>> ウツクシイ国ほかのコミュニタリアン美徳 >>> サンデル・アリストテレス・マッキンタイア > ロールズ > ハイエク >フリードマン >>>新自由主義

ぐらい


自分感覚ではあるけどベンヤミンなんかも課題にしていたと思われる「形式」と「内容」はそのまま「文化・慣習・美徳・制度・法」(タクシス)と「自由・自生的秩序」(コスモス・カタラクシー)と対応で、後者の論理的で自由なhackから前者が不断にアップデートされていかないといけないし後者も前者を参照しつつってのがある。




んじゃ以下、本書のメモ




サンデルによると正義の根本的価値観は大きく

幸福
自由
美徳

の3つに分類されそれぞれ

功利主義
リバタリアニズム(自由主義)
コミュニタリアニズム


が対応する。

ここでサンデルとしては「美徳を基本とするけれど自分はコミュニタリアニズムではなくふつーの感覚だ」みたいな話し方してる。


自由主義やリバタリアンについての解釈に違和感あり、全体の主旨からは特に得るものもなかったので印象的な箇所だけメモ的に。


いわゆる<他人に迷惑をかけなければ何をしてもよい>は

ステュアート・ミル「自由論」の代表的な言説として


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功利主義(ベンサム) - 最大多数の最大幸福 、は設計主義的なものとして説明されていた。それがほんとに功利主義の内実としてあってるのかどうかは別とて少なくともこの本ではそういう解釈だった。


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「それは欲望から道徳原理を導き出そうとしているので間違ってる」(カント)


カントはある時点での利害、必要性、欲望、選好といった経験的理由を道徳の基準にすべきではないという。こうした要因は変わりやすく偶然に左右されるため、普遍的な道徳的原理(普遍的人権など)の基準にはとうていなりえない。

なので設計主義的なものも批判される。


カントは条件に左右されない理性-道徳の思考形式として定言命法を提出する。定言的とは無条件ということ。どのような条件も状況も関係なく、抜け道、例外なく実行される。


このときに基本となる思考形式、行動の理由となる規則や原理を「格律」という。


カントは道徳と自由の両立のために以上を提出するが、しかし規則や原理に従うことが自由といえるだろうか?


:<自分で作った法則なので自律している>


しかし、自分で作ったとはいえその法則に縛られすぎれば自由とはいえないのでは?そもそも条件なき自由は無菌室の思考では?

この辺りの思考のあり方は上座部仏教のそれと似てるように感じられた。まあサンデル解釈なのでこのへんも自分であたっていくべき


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<無条件・エゴ・アイデンティファイがなければどのように思考するか?エゴなどから自由になればどう思考するか?>




ロールズ「無知のベール」


→ <無知のベールに包まれれば自分の最悪の状態 → リスクヘッジを想像して社会保障を要請する>

→ 底辺層にも利益をもたらす方法を模索する→格差原理(バスの運転士より医師のほうがある程度高給 / 最底辺でもゼロにはならない)
(cf.BI、負の所得税)


⇔ 逆に攻め的思考する人もいるのでは?(どんなに厳しい社会でも頂点に立つ可能性が少しでもあるなら彼らは喜んで賭けをするかもしれない)

⇔ <人間は自分の運命を左右する原理を選ぶときにそのような賭けはしない>


※格差原理は基本的に平等主義原理に根ざす



※アメリカの「リベラル」が自由主義ではなく平等主義になったのは「自由を守るために個人の権利を守るべき」という発想。1935年、フランクリン・ローズヴェルトが社会保障制度を開始した時「困窮した人間は自由な人間ではない」(自由のために最低限の平等が必要)というレトリックをとった。



ロールズのこれもカント的な実験室的ゼロ状態の設定のように思い、その意味では現実にはそのまま当てはめにくいように思ったけど、これもサンデルの解釈があるのだろうから地味に追っていこう。





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