2014年01月20日

マット・リドレー、2010、「繁栄」


読み終わったのでいちお。


繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史(下)
マット・リドレー
早川書房
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全体の感触としてはここで示したとおり


リドレーは経済学系の人かと思ってたら動物学プロパーでエコノミスト勤務経験な人だった。感触としてはジャレド・ダイアモンド的なペーパーバック感。まあそれは「繁栄」のほうが動物・生物学よりも経済学的な語りになってたせいもあるのだろうけど。

たったひとつの冴えたやりかた: muse-A-muse 2nd
http://muse-a-muse.seesaa.net/article/384420579.html



<「交換」-「取引」-「経済」ということが「繁栄」の鍵となる>というのが全体のテーゼ。んでも交換ということについてきちんと突き詰めてないので説得力に書けるところはあるけど。
https://twitter.com/m_um_u/status/417944773052620800

経済学と生物学の一般知識を知るためのエッセイとしてはちょうどよかった。


読み終わって思ったのはドーキンスとハイエクの影響を受けた話だったのだなあということ。なのできちんと詳しく詰めていくならどっちか読んだほうが良いのだろう。あるいは生物学なら赤の女王関連から芋づるするとか。


最後の方になってハイエクのカタラクシーの話が出てきて、しらなかったのでぐぐったんだけどネットでの情報は雑だった。
http://morutan.tumblr.com/post/73809784512
http://morutan.tumblr.com/post/73809736841
http://morutan.tumblr.com/post/73809643150

まあちょっとぐぐっただけだし「まつおかまったけだから」てのはあるだろうけど。




あとは全体的に資本主義と資本主義ではないものの違いみたいなのを意識できた。


「資本主義とはなにか?」とかんがえる場合、「それ以前のものと違うから新たな名付けが必要になった」ということだろうし「それ以前とは何か?」といったら封建制度ということになる。あるいは戦争経済。

戦争経済は戦争を仕掛けて土地を略取することを旨とする。土地依存の経済。

んでも土地を奪ったからといってどう経済が回るかというと、けっきょくはそのときの経済系というのは農業を基本とした労働集約型経済ということになる。


労働集約と資本集約という概念も本書で意識させられたんだけど、資本主義以前は労働集約、つまり人的リソースに経済が頼りすぎる。「機械や家畜を飼うより人を使役したほうが安い」という経済系。人口学にも関連するんだけど、経済の系が資本主義系にテイクオフ!してなくて人口が増えすぎるとこんな感じで全体が貧しくなる(マルサスの罠)。

それに対して機械なんか作ってそれで人が作り出すなん倍ものエネルギーを効率的に生み出せるようになれば人的リソース=人口だけに依らなくなっていく。

ここで人が単純に労働した場合の時間が短縮されるし、土地がそれほどない国でも本来の土地から生み出せる見込み以上のエネルギーや富を生み出せるようになっていく。

それをさらに「きみはこれ専門でやったほうが効率いいからこれ専門でやって、ぼくのこれとわけよう」「いまは現物ないけどとりあえずお金で信用担保して」って形で分業と交換(シフト)が進んでいくと生み出せる富の量がぐんぐん伸びていく。

この辺りは数学における代数的な考えにも似てるのだろう。
http://urasunday.com/u-2_09/


資本主義というのはそんな感じで代数的なものであり、砲術に数学が応用されて距離とエネルギー量がどんどん多くなっていったのと相関したものだったのだろう。

以前も言ったようにそれは格ゲーで先行入力のコンボを何個も重ねていってるのと似てる。




まあ、ともかくこのあたりの「資本主義とは何か?」「封建制(土地と人口依存経済)以後の経済系としての資本主義」「労働集約から資本集約へ」辺りに興味あるのでもそっと見ていこうと思う。


いまこそハイエクに学べ: 〈戦略〉としての思想史
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レントシーキングの経済理論

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レントシーキングというのは簡単に言うと「既得権益」と「ボトルネック」という言葉で呼ばれてる辺り。自由競争以外の論理で権益が守られ、そこから非競争的な利益が生み出されそれが経済系全体に回らないので公共的には悪しきものになる。

アフリカの金鉱、中東のオイルダラーみたいな資源依存経済と言うのはそんな感じ




世界の学界が問題にしているのは、アフリカの資源産業への依存度があまりに高いことである。学界の定説は「資源産業がもたらす経済成長はかえって開発を後退させる」というもので「資源の呪い」とも呼ばれている。
国民経済が「プロフィット」 (企業の資本投下による付加価値)ではなく「レント」 (資源産出から得る税収やロイヤリティ)を主要な収入源として運営されるようになると、そこには資本主義経済とは違った原理が働くようになり、資本主義国家とは異なる国家が現われる。そこではレント収入の確保と分配が国家運営の基軸となり、生産指向の希薄な国家主義的で保守的な政治がおこなわれるようになる。開発よりも権力維持のためにレント収入を使うようになるので、消費性向が高い、現状維持的で開発志向に欠けた政府が出来上がるのである。

http://morutan.tumblr.com/post/73770933604


まあでもこの辺もアフリカの優良国の中では変化が見られるようだし、レント→プロフィットのお勉強にもなりそうだから見ていこうかと思う


経済大陸アフリカ (中公新書)
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あと「ポスト資本主義」だけど、<交換の代数的な増大が経済システムの方向性>としたとき<交換がもっと増えていけば経済よくなるよ。そういうふうに人類史はできてきたんだから>というのがリドレーの結論だった。

楽観論ではあるけど「資本主義とはなにか?」さえ論じてないわけのわからんアンチ資本主義よりはマシかな




posted by m_um_u at 21:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | 経済このエントリーを含むはてなブックマーク
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