前回の続きというか補遺として。図書館返す前に付箋とりつつ見てたらメモってなかったとこがあったので箇条書きメモ程度
E.トッド、「新ヨーロッパ大全(T)」、「世界像革命」読んで、今後のお勉強流れと雑感: muse-A-muse 2nd
http://muse-a-muse.seesaa.net/article/385084577.html
・近代化の本質的三要素:
識字化、工業化、避妊(受胎調節)
近代性の度合いは労働力人口中の農業への就労者の割合によって把握される
cf.労働集約型 / 資本集約型、農業中心労働集約型-マルサス → 産業・エネルギー革命 → 人力から工業エネルギーへ(水車と発想は変わらないアルゴリズム的なものを拡張 + 石炭エネルギー) → マルサスの罠(人口密度が土地を超えると貧困に)を土地と時間の限界をエネルギー集約でシフトすることによって回避
・人口統計から見える兆し:
「新生児の死亡率が上がると国家が崩壊する兆し」
「次男率が高まると戦争の徴候」
http://morutan.tumblr.com/post/73243371584
ただし単純に死亡・出生率の増減だけから決定されない(→ 単純に子供を増やしたからといってGDPは上がらない)。あくまで最初の指標
・家族制度はBC6c(エトルリア文明の絶頂期)から1492(レコンキスタ終了)の間のいずれかの時点で安定化した
・家族農場はドイツ帝国の西部では支配的な経済的・社会的類型だった ⇔ マルクス<農場経営の所有と経営が集中してしまう歴史の必然>
「農地制度が時を越えて恒常的」(カウツキー)
・家族農場や個人事業主は信仰心が強いが被雇用者になると弱くなっていく
父親を企業主とする自立的生産ユニットでは父親の権威が強くそれが神の権威に親和していくが、賃金製では父親の権威は遠くなり母親のそれに中継されることになる。
・直系家族のルター派地域では神の消滅は痛みを伴わずには済まない。そこでの不安、アノミーに気づいたのはニーチェ一人にとどまらない。ナチス台頭はルターの神の消滅の直後に起こった現象。
・フランスで早期に革命的爆発が起こった第一の要因は文化的先行にあった。1789年にパリ盆地の男性識字率は50%を超える。第二の要因はパリ盆地などの中央部が平等家族だったのに対して周縁部が権威主義的直系家族だったため。中央と周縁、平等・不平等(権威)の反目と抗争が中央の理想のヒステリックな具体化を招来した。(cf.小説フランス革命、タレーランほか周縁貴族の権威性)
・平等主義-無政府主義の国の革命は混沌となり、最終的に軍隊を要請する。南イタリアのマフィアもそういった背景(平等を基本としつつの暴力(秩序)の要請、cf.中国の「家」「血」のつながりと中国マフィア)
・<民族><階級>の幻想は宗教幻想の崩壊のあとに要請された。ボナパルティズムは革命的民族主義といえる。幻想としての革命的民族主義の内容は「フランス人のみにとどまらずすべての人間の自由・平等」が目指されるがその根っこのところの家族型-主要価値(自由か平等か、権威か非権威か)などでイデオロギーの行く末が変わっていく。
・日本は基本的に直系家族にあたるが琉球・北九州・広島ほか西日本・諏訪(長野)は平等主義大家族形態(速水@「世界像革命」)
西日本(平等)/東日本(直系)、ではなく、もともといた縄文人なんかを直列家族系が京都を中心に北と南に追い散らしていったぽい。
そして、この分布は宮本常一がたどりついていた家族型の違い、建築様式の違いとも対応しそう(舟つくり:家の形が舟型)
舟作りは海人だった名残りをおもわせる
・フランス・ドイツの移民の問題は単純に平等主義を基本とした人道主義からは測れないぽい。家族型の違いでパリ盆地周辺は平等主義になったけどフランスの地方(南部とか)は差異主義だし、ドイツは直系家族なので差異・秩序を当たり前とする。
そして差異を見つめたドイツのほうが結果的にフランスより平等になっていたりもする
http://morutan.tumblr.com/post/73562414500/csu-eu-3
http://morutan.tumblr.com/post/73562470378
トッドは「イデオロギー的に平等主義を頭ごなしにし、その価値観をもとに統合するのは家族型からみてびみょー。マーストリヒト条約にはその観点から懐疑的」といっていた
(cont. → 「移民の運命」)」
ドイツの記事と同じようにフランスの場合も各地方やアクター、排外的になるひとたちの事情についての詳しい取材・背景が見たいところ


