朝にこのあたりのヤンキー論を見て
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/37682
「嗚呼…またイヤなもの見たなあ」とおもっていちお詳しく批判しつつ
http://bit.ly/1bet8Jc
結局はあのあたりは公共性のねじれとかそのあたりなのかなあとぼんやり思ってたらアレントの映画の感想が流れてきて
http://air.ap.teacup.com/lafcadio/1439.html
「それってモティーフとしては『愛を読む人』に継がれてて人間ドラマとしてはそっちのほうが重いよ」と思ってたらその感想も書かれてた。
http://air.ap.teacup.com/lafcadio/1098.html
主人公の名前もハンナつながりで
ナチスでユダヤ人収容所の刑務官にあたった女性の話なんだけど冒頭はそういうの関係なく年上女性と10代の青年の性愛の話として進んでいく。「彼女はなぜか情事の前後に本を読んで欲しがった」という奇妙な話として
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ネタバレしてしまうとこの女性は字が読めなくてそのことをずっと恥じていた。ただ、それを言い出せなくていろいろな年下の主人公との別れもそれがきっかけになったり、裁判のときにも不利な証言をすることとなる。証拠として挙げられた文書に意味もわからず署名していたので。
表題の「愛を読む人」というのは彼女が寝物語に本を読むことを主人公にねだっていたことと、刑に服した彼女のために主人公が本を朗読しテープに録音し届けていったことをかけている。
自分が理由なく捨てられたことに青春の傷を抱えていた彼は裁判の過程で初めて彼女が文盲だったことを知る。そしてそれを恥じていたことを。そのことに気付き、それを法廷で証言すれば彼女が不利な立場から救われることを知りつつ主人公は葛藤する。
「刑に服するより公衆の前で文盲だと明かされることを彼女は恥じるのではないか?」「しかし、それを黙っていることは自分が過去に無碍に捨てられたことの復讐なのではないのか?」
けっきょく彼は黙し、彼女は刑に服することになる。
主人公はそこに呵責を残し、それがあらたに「愛を読む」ことにつながっていく。
最後の場面、彼女と出所後の話になったとき「いい身元引き受け人を紹介する」と主人公は言う。彼女はその親切に表面的には感謝しつつ、翌日自殺してしまう。
「愛を読む」ことを通じて彼の愛が自分に還って来ていることを期待していたから。あるいは「身元引受人を紹介する」ということで現実社会における自分の位置、前科者という惨めを一気に背負うことになり、彼との間の距離に自らの自尊心が堪えられなくなった、から…。
その答えは明らかにはされなかったのだけれど、彼女が文盲がゆえにコンプレックスとプライドを、誇り高く生きていたことが印象的だった。そして彼との遠出で立ち寄った教会の賛美歌に涙する姿も。
自分の過去の恋愛に重なるところがあるからなのか、あるいは永山則夫的なモチーフ(文化資本が足りないがゆえの構造的な悪を生まれながらに背負うこと)になにか感じるところがあるからなのか、なんとなく印象に残った映画だった。
別件で「差別やいじめはダメです!具体的にはこういうの」って教条的に教えていく教育の無意味さみたいなのを見つつ
http://kabux.hatenablog.com/entry/2013/12/03/090345
知性主義、といってもけっきょくはこういった型の踏襲で自分の頭で考えないと意味は無いだろうなあ、と。
自分が知らなくても(あたまがよくなくても)踏みとどまれるか。自分で考えた末の選択ができるのか?というようなことをおもう
そこには自分で築き上げていった倫理のようなものが関わり、それをつくりあげていくのがけじめのようなものなのかなあ、って。
http://muse-a-muse.seesaa.net/article/381807240.html
ふつーに、ただしい形での常識というかコモンセンスみたいなの。良識とか品格っていうかそういうの。それらが教養としてパッケージされていた時代もあったのだろうけど、現在はそういう言葉はなんだか浮いてしまった。
教養というのはビルドゥング(Bildung)に当てられた造語かなんかで、教養理念とは「各個人が真善美の多方面に渡って個性を発揮し調和することで自己完成を目指す」ものであった。bilden などの元々の語源は神秘主義であり、神の人間に対する働きかけを表すために使われる言葉みたい。
ざっくりいってしまうと教養とは宗教改革後の新しい経典のようなものだった。あるいは聖書の物語をより身近な人生訓にしつつ、その主題を考えていくためのもの。なので、Bildungの目指す先というのはそういったものと自分の生死や存在との関わりを考えることを通じての成長ということになる。
宗教改革+大学がつぎつぎと出来ていっていた状況の中でそういった知の拠り所のようなものが必要となっていったのだろう。単なる知識ではない人生の対話のアテのようなものとして。
教養とはそもそもそういった背景にあったものだった。けど、明治期の移入段階でそのあたりの背景が理解されず単に「エリートの嗜み」程度で理解されることになったみたい。そして旧帝大の文学部は農家出身のものが多く、彼らはこういった教養を身につけることで西洋近代に追いつこうとしていった。簡単に言うと田舎者が簡単に箔をつけ成り上がるための道具として教養は使われていった。
教養主義の没落―変わりゆくエリート学生文化 (中公新書)
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竹内 洋
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日本ではそういった形で教養が理解されていったためその価値も見出されず、単なるブランド的な虚飾として捨てられていったのだろう。
リベラルアーツを基本とする人文知というのはそういったものを基礎とするけど、そのあたりの背景も知られてないようだし。
なので「明治政府は教養のあるひとを大量に作り上げたけど働かせる場所を考えてなかったようです」って背景もそういうのが関係する
http://ch.nicovideo.jp/yamasitataihei/blomaga/ar404613
あるいは福沢爺や柳田爺が日本の土俗の宗教にミョーに差別的であったのも
http://ch.nicovideo.jp/yamasitataihei/blomaga/ar395718
西欧の近代化の過程で啓蒙主義という一連の教養主義的な気運が生じたけどそれは英仏独それぞれに内容の異なるものだったしロックやヒューム、ルソーやヴォルテールなど各人ともその内容が異なったりする。
一番大事なのは科学的合理性に基づいてアンシャン・レジーム的な旧弊、その価値原理であるローマ・カトリック的な腐敗な因襲を打倒することだったんだけど、その一番の内実は数学的合理性と実践性にあった。そしてそれを用いた経験主義的な合理性。つまり仮説→実験→修正→証明。それを数学、あるいは数学的論理性にもとづいてやっていくようになったことが啓蒙主義の一番の内実。蒙を啓いた内実はそういったものだった。
フランス革命におけるヴォルテールを中心とした啓蒙主義者はそのことを忘れスローガンとしての理性と啓蒙が暴走していった。それが理神的な暴走であり、そういった経験的な内実を忘れた教養と啓蒙はドイツにも受け継がれていった。つまり神や存在、人生に対する敬虔さを忘れた表面的な理性の暴走。それは実務面とロマン主義的な感性の二つに分かれそれぞれに独立した理を築いていった。
啓蒙の弁証法的な理性の暴走、ナチズムの暴走というのはそういうことなのだろうけど。
そういった経験の影響をいくらか受けたためか日本の戦後でも教養の価値は衰えていった。
それでもまだ昭和の周辺にはそういった教養やそれに連なる品格、人格を携えたひとたちがいたのだろうけど、それも現在はなかなか遠くなってしまった。
いわゆるヤンキー化やゼロ年代的な停滞というのもそのあたりへのアクセスがなくなってしまったことによるアノミー的な面もあるのだろう。
彼らは最初からそういったものを知らなかった世代だから喪失ってしまった衝撃と混乱のようなものではないのかもだけど、最初から失われた子どもたち的な混乱のようなもの。それが教養の割れ子のひとつ、実務-経済的な約束が失われて一気に吹き出した。
それまで「よくわからないけどがんばれば終身雇用が約束されてる」「よくわからないけど学校のお勉強(教養)を暗記していけばいい暮らしができる」が不安定になってしまったので。
そして、経済ボリュームの変化で実質的に使えるお金の量も減り、所得格差によって居住区域も異なり、郊外や地方にはそういった文化商品しかないという現状のなかで「ヤンキー > オタク > サブカル」の順で選択されている。
竹内好さんのこの本はまだ読んでないけど、「教養ってなんですか?」と聞かれたとき「けっきょくは教師や友人なんかを見ながら培われるものだよ」って答えたのはそういった辺りの話だろうし、竹内さんの良心のように思った。
http://bit.ly/1ayKzAB
(あと、ことりこ復帰おめでたう)
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関連:
Did you know that?−コモンセンスと常識の違いは?
http://bit.ly/1ayHrEP
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