2007年03月17日

海外コンテンツホルダーのビジネスモデル (IBMの4象限モデルから)

 最近やたら海外メディアニュースの量が多くなってきてて、ちょっとまとめるのに難儀してたところにちょうどよい視角(パースペクティブ)が入ってきたので、ちょっと遊んでみることにしました。発端はこちら↓


The Coming Media Divide II
http://alwayson.goingon.com/permalink/post/9807

The coming media divide(@social media)
http://www.socialmedia.biz/2007/02/the_coming_medi.html


 IBMがコンテンツ事業者、ディストリビューターについて新しい視角を発表した、と。なんか4象限に分かれてて見やすい。織田さんところにも解説あったのでパクらせていただこう。


マスメディアとデジタル配信が入り乱れる中、IBMがメディアビジネスモデルについてのレポートを公開し、4つのビジネスモデルが2010年まで共存するだろうという見通しを示した。4つのビジネスモデルとは、プロの作るコンテンツを限られたデバイスで送る「Traditional Media」モデル、ニッチ・CGCを限られたデバイスで送る「Walled Communities」モデル、プロの作るコンテンツをオープンな形で配信する「Content Hyper-Syndication」モデル、そして、CGCをオープンな形で送る「New Platform Aggregation」モデルである。

Ad Innovator: 4つのメディアビジネスモデルは2010年まで共存より引用】




 そんな感じでコンテンツオーナー・配信事業者の将来(ビジネスモデル)が、「オープン(共有) / クローズド(非営利)」「CGM / Professional」の4象限から占える、と。

 元図としては以下




media divide big.jpg 

 これを元にiEditでお絵描きしてみた。(図がちょっとゆがんでるのはご愛嬌ということで。あとでっかいのでサムネイル。クリックで拡大 ※まちがってたので「追記」で修正してます)


contens holder.JPG


 感覚的に配置したのでそれぞれの位置取りはびみょーなんだけど、いちお理由を羅列しておく。

 まず、Media Conglomerate5社(すなわちAOL Time Warner, NewsCorp, Viacom, Disney, Sony)の配列基準について。

 Time Warnerは特に動きもなかったので「クローズド / プロ」な位置。

 Viacomはコンテンツ的にはparamaountとMTVを抱えてて、MTVのほうは最近けっこうsocial化な動きが見えたのでWarnerよりはSocial(CGM)な位置に配した。MTVのSocial化の内実としては、自前youtubeとか投稿専門テレビ局ニコニコ動画系サービスSecond Life進出など。SL進出はプロモーションなので単体では意味ないだろうけどいちお。

 Disneyは配信網としてABCもってるけどあまり動きがない。元々、コングロマリットの中ではあまり動かないほうなので(ネズミーランドあるし)。いちおvisitorが編集できるwikiもったらしいけどプロモーションって感じ。
 
 コングロマリットの中で一番動きがあるのがNewsCorp。Fox on Demandでpay per viewって感じだし、モバイルへの進出にも意欲的(Fox News Mobile)。あとやっぱMySpaceを中心にした動きが活発。MySpace内でTVショーを提供したり、ニュースアグリゲーターを立ち上げたりもするらしい。メディアパブによると、

・有力サイトのニュースやブログをリアルタイムにアグリゲート(収集)する。
・特定のテーマに絞ったニュースページを作成する。
・ユーザーは各記事に対して,評価やコメントを加えたり,ブログで意見を述べたりができる。


 って感じ、と。あとはアメリカ国外の動きとして、オーストラリアに新たにメディア企業を創ったり、インドのボリウッドにオンライン音楽コミュニティ、動画ダウンロードサービスを創るかも、とのこと(参照)。
 
  んで、最後にSony。いちお元コロンビアなSony Pictureはあるけどコンテンツ的には魅力がない。音楽部門とゲーム部門ということだろうけど、大分前にゲーム部門に集中したわりには最近の動きはちょっとアレな感じ。「PS3はWiiに惨敗」ってことだけど、「Cellによる一発逆転を狙ってる」って話もある。CellがOSみたいな感じで各デバイスのインターフェースとして機能するようになり、なおかつグリッドコンピューティングが可能になるらしい(参照)。もしそれでデファクトとれれば一発逆転だけど、なんか光ファイバーみたいになりそうな気がする・・。スピード勝負なんだろうけど。

 次に注目したいのはSecond Lifeに代表されるMMO系プラットフォーム。これは単なるゲームというより次世代SNS(つまりポストポータル)として期待されている面もあるようなのでその辺の起爆力も考慮して。ただコングロマリット系やTraditional Mediaに比べたら体力ないので大きな一手は打てないだろうけど、ネットワーク外部性(つまりユーザー数)が集まればエンジェルみたいなのが現れるのかなぁ・・(YouTubeみたいに)。って、よくみりゃSCEもここに入ってるな。なんかこの前、SL系で参入したらしいので。あるいはSony - SLというラインでCELLプロジェクトに連動すると面白いことになるかもしれない。

 で、

 これらとは関係のないところにちらほらと。

  USA Todayはコメントなどのweb2.0機能に対応したらしいのでここに割り振った。USA Todayのほかにもアメリカの新聞社のSocial化は進んできてるみたいだけど、今回は割愛。

 ポイントはやはりGoogle + YouTube。

 YouTubeについては直近で、Viacomによって訴訟を起こされたらしいけど、それ以前の流れ(CBS,FOX,NBA,NBC,NHL,PBS,Playboy,Sony BMG,Sony Pictures ,Universal Music , Warner Music Groupとのパートナー化)を考えるとまだ大丈夫かなぁ、って思ってたんだけど、「なんかダメかもぉ〜」(けっこうヤバイかも〜)って見方もある。ほかにもこの辺とか。んで、ワーナーも「Viacomに協力するぜ」、と。

 この辺の話ってNBCとかに10億ドル渡して3年待ってもらうことでカタついた、って聞いてたんだけど、どうなったんだろう・・。(あさえださんが湯川さんのpodcastで言ってた)


 まぁ、そんなこんなでViacomがMTVの動画共有サービスでこの辺狙ってくるのかって感じなんだけど、ベンチャーで元気のいいSling MediaとJoostの動きが気になる。

  Sling Mediaは「ロケフリ+SBM+Youtube」って感じで、「どんな場所でも、どんなデバイスからでもコンテンツを見れて、気に入ったコンテンツをSBMみたいな感じでぶくまして、アップ(共有)できる」、ってサービス。一回にクリップできるコンテンツは5分ほどらしい(参照)。マッシュアップって感じだけどシナジー効果が期待されてなんかすごいことになるかもしれない。ここにCBSがコンテンツ配給してる。で、CBSはViacomと提携してたのでこの辺りでなんか連携してくるかもしれない。そうするとSling Mediaってのは単なるベンチャーじゃないわけで、ちょっと侮れない。

  最後にJoost。これはSkypeなスタッフによるP2Pな動画共有サービス。元々、Veniece Projectって呼ばれてたやつかな。この辺は海部さんの説明借りよう。

Joostについては、まだまだステルス・モードから完全に抜けておらず、評価も分かれているようだが、まぁとにかく、話題を集めていることは間違いない。KaZaAやSkypeを創業した二人組がやっているプロジェクトで、昨年末頃まではVenice Projectと呼ばれる秘密計画だったが、1月にJoostというブランド名で登場した。ウェブ上で、テレビ番組やショートフィルムなどのメディア・コンテンツを、DVD並みの高画質で配信するシステムだという。今のところ、ベータ・ユーザーとしてのトークンを持っていないと利用できないが、例によってテック系ポッドキャストでトークンを持っている人の話を聞くと、驚くべき高画質ということで、これまたMiddleTailコンテンツの配信ルートとして期待を集めており、冒頭のイギリスのジャーナリスト、Will Harris氏も、そういう文脈で話をしていた。ただし、今のところ、この二人はテレビ番組を調達すべく、大手メディア企業ともっぱら交渉しているということで、「そりゃあお門違いだ、もっとMiddleTailに力を入れろ」という反論も聞こえる。KaZaAでもSkypeでも、音楽レーベルや電話会社などの大手既存勢力を大幅に敵にまわした二人でもあるため、この既存勢力相手の交渉がうまくいくのかどうかはなんとも言えない。

Tech Mom from Silicon Valley - Middle Tailコンテンツが少しは商売になる兆し?より引用】



 そんな感じで資金面がちょっと不安なJoost。サービスとしては期待できそうなのに。




 以上がすごくおーざっぱなアメリカのコンテンツ業界のマッピング。主に自分のニュース整理用にまとめたのでおーざっぱな感じなんだけど、こうやって図にしてみて改めて思ったのはNewsCorpの動きが際立つな、ということ。Social化というかCGM化に積極的。MySpace持ってるからなぁ・・。そこから動画共有も仕掛けようとしてるみたいだし。

 んで、ポイントはやっぱYouTubeをはじめとする動画共有サービス(配信網)。この位置をとったりとられたりっていうのがしばらくの間の動きになるっぽい。「そうすると共有・コピーでコンテンツが減る(儲からなくなるかもね)」ってのが向こうのアナリストの心配どころとしてあげられていた(参照)。「エロの敵」でも指摘されてたけど、向こうのエロ業界でも共有サービスの影響でDVDの売れ行きが気になってるみたい(参照)。

  そういうのに対してこの記事で、「逆にチャンスかも」、みたいなこと言ってたみたいなんだけど、よく読み取れなかった。興味があったら見てみてください。



(じゃ、そんなこんなで)




--
追記(2007.3.17):

見直してみると第4象限(content hyper syndycation)がすっぽり抜けててなんか変ですね。んで、改めて定義を確認してみると、


「Content Hyper-Syndication」モデル:プロの作るコンテンツを限られたデバイスで送る

「New Platform Aggregation」モデル:CGCをオープンな形で送る


とのことで、んじゃ、第4象限に大体の動画共有行くじゃん・・。

そういうわけで修正です



contents holder mapping.JPG



あと、「共有(オープン)=非営利」「クローズド=営利」ってわけでもないのでそこは修正して「オープン」と「クローズド」だけにしてみました。こっちのほうがマッピングしやすくなった。で、配置理由↓

YouTubeはちょっとはCGM(≠アマチュアな動画)があるのでヨコ線に近いぐらいに配置。

MTV(Viacom)、Sling Media, Joostは元々営利なものを共有するサービスなので右下(content-hyper-syndycation)に配置しました。でもBitTorrentと契約してるらしいのでこれも右上に近い感じ。ポイントはJoostとViacomが提携関係にあるということで、FPNのエントリが言うとおり、Joostにとっては「頼りになるのかぁ?」って感じなんだけど、全体図を見れば分かるようにViacomが二股かけてるんですね(CBSにも)。んで、自分とこでMTVでしょ?なのでほぼ万全の体制で動画市場を狙いにきていることが分かる(ヤル気満々ですね)。

っつーわけで、上記エントリ中リンク先のアナリストが言ってたみたいに「YouTubeちょっとヤバイかもぉ〜」です。



あと、右上(New Platform Aggregation)が寂しいんだけど・・いまのところないしなぁ(強力なやつが)。ニコニコ動画系の被せ映像の「被せた」部分(文字修飾など)を独自の編集と呼ぶかどうかだろうけど、びみょーっすね。



こういう動画市場にどうやってマジックミドル(ミドルテール)系が食い込んでいくかってとこですが、その辺りはこの辺で↓


マジックミドル(Middle Tail)の可能性とアルファなものの影響力について
http://muse-a-muse.seesaa.net/article/35079440.html


っていっても、未だ分析終わってませんがw


あと、SLについてはこの辺で触れてます


新しいメディア体験の可能性とSecond Lifeについて (スクエニ乙部氏インタビューから)
http://muse-a-muse.seesaa.net/article/34944058.html









posted by m_um_u at 00:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | メディアこのエントリーを含むはてなブックマーク
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