2007年03月11日

りゅーどーせーとらっぷ

 巡回先で以下の記述を見てちょっと戸惑うっていうかどうしよっかな・・。

恐らく、宮台さんの過剰流動性に対する不安という見取りに対して、赤木さんが、いや、そうではなくて、流動性がないからこそ、苛立たしさを感じ、このまま、フリーズしちゃうんではないかという不安感が基底にあり、流動性を呼び込むものなら、「例え戦争でも…」という誤読されやすい発言を生んだのではないか、糞詰まりになった状況の閉塞感を示したのは重要な指摘だと思う。

葉っぱの「歩行と記憶」 - 南北問題の国内化より引用】



 いや、うん、えーと・・・。

 まぁ、順を追って。


 結論から言えば、「流動性」という言葉の意味の多義性に問題があるのだろうけど・・順を追って。

 赤木さんが指摘しているのは、「昔と違ってフリーターは一生フリーター(未来が見えない)っていうのが問題なんですよ」ってことで、この辺とか絡みつつ、A.センのcapabilityとか、それを可能にする社会保障(公共政策論)の問題に還ってくるのだと思う

親(あるいは、自分が子どものときの家)がものすごく貧乏だったという話もときどき聞く。親が貧乏だったつーことは、その親の立場でいえば、ものすごく貧乏でも結婚できて子どももいるということになる。もっといえば父親が飲んだくれて全然働かないとか、借金だらけでどうとかという話もときどき聞く(つまり働かない男性でも結婚できて子どももいる)。

それと一緒じゃないかって話をしたいわけじゃなく、その親の時代(20年ほど前?)と今では何が違って、貧乏(あるいはフリーター)だと結婚できないし子どももできないってことになってるんだろうなあ。と単純に疑問に思うのであった。

あるいは、ものすごく貧乏でも結婚して子どももいる人ってそのフリーターと同世代でもいると思うんだけども、両者の間では何が違って、結婚できたりできなかったりするのかなあ。

strangeより引用】



この問題を少しでもまじめに考えている人にはごく当たり前の話で、その人に一定の資源や能力が備わっていなければ、「機会」を自由に活用していくことなどできるわけがないのである。「結果の平等」も厳密に確定することは困難だが、少なくとも「機会の平等」に比べればはるかにわかりやすい。

狂童日報 - 「機会の平等」は正しいかより引用】




 そういうわけでA.センのcapability概念に還ってきて、栗山さんの指摘するように「国内での南北問題」ってことになるんだけど。(※capabilityについてはこの辺とかこの辺とか参照してください。もしくは自分で調べてください。問題点もあるので)



 で、


 赤木さんの指摘はもっともだって感じなんだけど、たぶんそれってギロンの前提なのでそれ言っても宮台さんとかほかの人は「ふーん」って感じになると思う。揚げ足取りみたいなものなので。


 宮台さんが指摘する雇用の流動性というのは「フリーター(もしくは非正規雇用)がいつでも首を切られる」という状況のことで、赤木さんが指摘する「雇用の非流動性」というのはその前提として「(いつでも首を切られるような)フリーターの位置に固定される」ということを指摘しているに過ぎない。もちろん宮台さんの言説では「雇用の流動性による不安の増大」というところだけクローズアップされる傾向にあるし、ご本人もその部分を強調されて話をされる傾向があるように思うので、そこが切り取られてしまっても仕方ないのだとは思うけど、たぶんそれ系の著書なんかでは前提条件としての「一生フリーター状態」については前置きしているのではないか?(読んじゃいないが)

 ぼくは宮台信者でもないし(むしろアンチ)、この辺りはギロンの本筋ではないのでここら辺で絡んでもらっても困るのだけれど(といちお断りつつギロンを進めていこう)、この問題のポイントというのは「流動性」という言葉に対する誤解というかその多義性(指し示すものが多すぎること)にあるように思う。

 それぞれの文脈で指示している事象ははっきりしているのに、「流動性」というところだけ目立ってなんか誤解されるというかこんがらがってしまうという問題。


 上記の文脈でも「流動性」という言葉だけにとらわれると「あったほうがいい」派と「ないほうがいい」派に分かれるけど、ほかにも「流動性」があったほうがいい状況とないほうがいい状況というのはある。例えば分裂勘違い君劇場のこの辺のエントリとか


「他人の生産性が向上すると自分の給料も増えるのか?」を中学生でもわかるように図解してみました
http://d.hatena.ne.jp/fromdusktildawn/20070215/1171504603

 あなたの給料が努力や成果とあまり関係なく決る構造を図解
http://d.hatena.ne.jp/fromdusktildawn/20070220/1171970724


 ここでは労働流動性があったほうが個人の能力が活かせる職場に行きやすいわけだから「流動性マンセー」的な感じでギロンが展開されている。でも、その能力というのを査定できる人がいるのかどうかというのが問題だけど(「それは別の問題だね」って分裂くんも別エントリで言ってたので置く)。

 んでまぁ、「個人の能力だけでは賃金決まらないし、そもそも個人の能力ってなによ?」ってことでゴッドランドに帰ってくるんだけど、この辺は別の文脈で長くなるので置く。

 んで、結論として、上記の文脈では「流動性があったほうがいい」、と。

 

 次に「流動性」と聞くとよく出てくるあの言葉


 流動性の罠(@weblio)
http://www.weblio.jp/content/%E6%B5%81%E5%8B%95%E6%80%A7%E3%81%AE%E7%BD%A0

 この文脈でも流動性があったほうがいいのになくなって損したみたいな感じになってる。

 もうちょっと詳しく言うと「流動性の罠」とは、ミクロ経済学的には、「需要と供給の交換をスムースにするために貨幣はあるのであって、なければないほうが理想」、ってことになるんだけど、本来、透明な媒体にすぎないはずの貨幣がそれ自体として価値をもつようになることによって、人がそれを溜め込んで手放さなくなる状態、だったっけな?(cf.箪笥預金?)

 この文脈でも「流動性はあったほうがいい」ってことになってる。

 

 んで、次に思い浮かぶの貿易関連からネットワークとかデファクトに関わるアレ。経路依存性とスイッチングコストの問題。

 機能的には上回るものでもユーザーが新たな機能を覚えたり、「いつもと違うところから買うのはめんどくさいな」って思うので機能とか価格的に最適ではないものを選択する傾向がある、って話。

 で、機能面(イノベーション)から見ればこれは明らかに損失なわけで「流動性があったほうがいい」という話になると思うんだけど、別の文脈からみると「インターフェースは無理にいじらないほうがいい」ってことで「流動性はないほうがいい」ってことになる(のかもしれない)。




 って感じで・・ってか「流動性がないほうがいいこともあるよ」って事例が少ないな・・。探せばもうちょっとあるのかもしれないけど、いいやめんどい。


 要は、文脈によって「流動性の意味合い(受け取られ方)は変わってくるよ」ってことが言いたかっただけなので。



 ちょっと飛ばして(流動性と似てる)ネットワーク外部性の開放うんぬんの話にしても、「外部性を開放したほうがいい」というフェーズと「外部性を閉じたほうがいい(囲い込み)」というフェーズがあるように思う。最初から外部性閉じてたら顧客誘引できないんだから開いといたほうがいいけど、開きすぎると共有とかコピーの問題、あるいはライバルに外部性をとられすぎるということがある。

 要は最適なタイミングで開き閉じるということなんだけど、その判断はあるなんらかの要因(いくつかの要因)を考慮して変わってくるのだろう。つまり、「要因」によって「外部性を開くかどうか」という判断は変わってくる、ということ。(※「開く」「閉じる」の判断は固定的ではない)

 個人的にはこのタイミングと相転移のタイミングが重なるように思うけど、これはメモ程度に。(あとハブのお引越しとかね)




 まぁ、そんなこんなで「流動性」って言葉の意味合いも場面、場面によって異なってくるので、その言葉だけをとって是非の判断はできないと思うよ、って話でした。




 ところで、こんな感じで「流動性」のみだと誤解が生じやすいように思うので、それぞれの場面にあったキータームみたいなのが作れないんだろうか?「“雇用流動性の不安”の流動性については○○と呼ぶよー「とか「“フリーターは一生フリーター問題”の流動性は○○だよー」とか・・。


 svnseedsさんとかbewaadさんとか得意そうだけど、「はぁ?」とか言われそうだな・・。



 ためしに分裂君にTB打ってみよう(これも「はぁ?」とか言われそうだけど) ⇒ TB受け付けてないな・・。






♪ ダウンタウン・ブギウギ・バンド / 港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ




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関連:
資源最適化としての格差社会と社会保障に関して
http://muse-a-muse.seesaa.net/article/34581304.html


雇用流動におけるアイデンティティー不安と協調の可能性に関して
http://muse-a-muse.seesaa.net/article/35314889.html





posted by m_um_u at 22:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 経済このエントリーを含むはてなブックマーク
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