2007年02月18日

ミクシと2ちゃんとblogと少しおカネの話

 ITmediaに笠原氏インタビュー記事が載っていて激しく違和感を感じたのでこの機会にたまっているmixiなエントリを洗ってみることにした。

 とりあえず、トリガーはこれ


「わたし」対「わたしたち」――mixiと日本文化に挑むMySpace(@ITmedia)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0702/16/news070.html


 ここで同氏は、「MySpace?眼中ねぇッスよ。ウチら圧倒的っしょ?なんたって"調和を尊ぶ友好的な雰囲気(ばいぶす)”っすYO」、発言をされているわけだけど、これが対外向けの煙幕じゃなくて本気だとすると空恐ろしいことだなぁ、と思った。

 確かに、ネットワークの経済性というのはデファクトスタンダードをとったものが一人勝ちになり、それがグローバルに続いていく傾向があるように思うんだけど、だからといって、『mixiの笠原社長は平然とした様子で肩をすくめてMySpaceの上陸を一蹴した。』、って何?

 同記事最後でもびみょーに匂わせているけど、mixi離れは進行中だし、MySpaceJapanは未だ勝負を始めていない。

 mixi離れの要因は大きく分けて2つある。1つはいわゆるケツ毛バーガー事件に代表されるようなmixiの安全性に対する懸念、もう1つは「mixi疲れ」という言葉に代表されるようなmixiにおけるコミュニケーションそのもの(サービス)への疑念。もう1つ付け加えるなら、1つ目の「安全性の保持」という不安要因に対してmixi運営側がとったオペレーションのまずさ(IDの無作為・無確認削除)。これは日本のネットワーカーの記憶にしっかりと残っていくだろう。

 で、冒頭に上げた記事に戻るけど、この2つの不安要因に対して何一つ答えていない。「質問されなかったから」ということかもしれないけど、NG質問に指定していたのではないか?てか、それまでのITmediaでの取材で既出だったので今回は遠慮させてもらったか。


 まぁ、mixiに対して特別な感情があるわけではないのでこの辺にしとくけど、SNS関連で上記のことは客観的に常識だと思うので記しておく(※mixi運営側がこれをmixiに対する誹謗・中傷だととるかどうかは分からないけど)。


 で、MySpaceについてだけど、湯川さんのところにインタビュー上がってたので聞いてみた。


 日記文化とは違う自己表現SNS−マイスペース香山誠氏(@湯川鶴秋のIT潮流)
http://it.blog-jiji.com/0001/2007/02/post_235e.html


 失礼ながら全体的にたいした内容ではなかったのだけれど一つだけ感心したのは、どうやらMySpaceJapanが未だ全然本気を出していないということ。現在は「翻訳がうまくいっていないページがある」などの基本機能に対する調整段階 + MySpace普及の鍵を握ると思われる音楽コンテンツの権利問題の解消を進めている段階で、それらがいちお形になるのは4月ぐらいだろう、とのこと。

 まぁ、NewsCorp+ソフトバンクなわけだからのんびり行こうって感じか(だいたいアメリカ版のユーザーが1億人って・・ケタが違う)。

 そんな横綱相撲なわけだけどローカル(日本)への普及における問題点についてもきちんと認識してるみたい
ミクシィの日記型文化とは少し違う。マイスペースは自己表現ツール。日本でも若い世代がケータイの世界で自己表現をしている。日本人にも自己表現欲求があるはず。

 この辺りはよくいわれる「ミクシのコミュニケーションはベタベタ(短い挨拶でベタベタ)」「アメリカ人は自己表現・自己主張強いからジャーナリスティックなblog書く(日本の日記文化とは違う)」っていうやつだろう。それに対して湯川さんは「日本人にも自己表現欲求あると思うけどなぁ」って言ってて、MySpaceの香山さんも同意している。

 この辺りはたとえばmixi疲れに代表されるような現象を想起するとおもしろい。mixi疲れというのは「知り合いがなんかアップしたから見に行かないといけない」とか「なんかコメントつけないといけない」とか「足あと残さないと失礼かも」「知らない人に足あと残すと失礼かも」・・・って感じのよくわからない(失礼)mixiにおける儀礼的コミュニケーションってやつ。

 ネットの意見相互調整機能(すり合わせ) + 儀礼的無関心

 って感じで、前者はノエル・ノイマン、後者はゴフマンだったけな?そういう意味では新しい現象でもなく、「都会人のぉ〜洗練されたぁ〜こみゅにけーしょん(んんんn)」、ってやつなんだろう。

 後者はよく知らないので前者について言うと、先日でてきたサイレントマジョリティってやつ。つまり、「ほんとはオレこんなこと言いたいんだけど、みんな(ってか怖い人)が怒るから言わないようにしてるんだよぉ」ってやつ。で、声の大きな人の意見ばっか目立っていくっていう。いちおマスコミュニケーションの悪しき影響として挙げられる例ではあるけど、「理論」って確定してるほどのものでもないと思うけどなぁ(ってか、アメリカ的効果研究は単純で嫌い)。あと、mixiの場合、身内繋がりが多いので仕事の付き合い的にやばいことかけなかったり。

 って、こう書くとSNS限定の現象でもなくblogでも似たようなことあるな。匿名・実名が関係ないということの証左であるけど。 そういう意味で完全匿名な場(増田 or 2ch)が必要とされるわけだ。


 ガイジンの場合その辺りが「実名+ホンネでいい」っていうのはある種の特攻精神というか、彼ら独特の市民社会意識(自己責任意識)というものがあるのだろう。この辺りが公共性の問題とも通じるけどこれも脇道長くなるのでやめとこう。
(ってか、Pew Centerの調べだとアメリカ人もblogについては『ブログの主目的は「個人的体験の共有」』って言ってるみたい・・まぁ、置く)

 で、そろそろ今回聞いた次のエントリにリンク



「2ちゃんねる対ミクシィ」〜山形浩生さんを迎えて
(@Life)



 前半部はたいしたことなくて後半部から盛り上がってくるっていうのはこの番組の傾向っぽく、今回も外伝のほうが面白かった。とりあえず面白いと思った論点を箇条っぽく
(※テキスト見直さず印象でてきとーにまとめております。気になる人は該当箇所をlifeのアーカイブのほうで確認してください)


○「2ch vs. mixi」という枠組みではなく、「early adopter vs. 新参者」ではないか?

「サツバツ(ホンネ)とした2ch vs. ベタベタ(タテマエ)したミクシ」という構図ではなく、「ネットの古参(常連) vs. 新参者」という構図ではないか?ミクシ初期の雰囲気を見ても分かるように、黎明期のgreeかmixiかの覇権争いでは2chからの大挙参加によって趨勢が決まった感がある。そういう意味では「ミクシが有名になってから2ちゃんねらーが押し寄せるようになって雰囲気が悪くなった」という言説には偏向がある。
 
○いわゆるearly adoptorというのはエリートというか新し物好きの連中で、そういう連中はミクシにもう飽きている。「mixi疲れ」なんて言葉にもそれが表れているのではないか?

 また、「プロパティがくっついてきてホンネが書けない(ベタベタ・クネクネしたコミュニケーションに終始する)」というのも問題といえば問題。その意味では2chのような匿名な場はホンネノギロンができて意義があるように思われる。

○んでも、やっぱ「犯罪」とか「ゴミ情報」とかのノイズの問題があって、そういう問題に大しては「S/N比(シグナル / ノイズ)高めりゃいいんじゃね?」ってことになるんだけど、その方法としては「やっぱ金かな」、と。お金を介して発言に責任を持たせることでノイズは少なくできる(ってそのお金がどこから出るのか知らないけど ←「そこが一番重要じゃい!」(山形))


○んじゃ、そうなった場合(ってか現状でも)ミクシの存在意義って何よ?
 
 「コミュニティかなぁ」⇒雑誌の代替として機能するミクシコミュニティ(ex.好きなアーティストの最新情報が手に入る。2chよりノイズ少ないので安心・快適)


○んじゃ、そういう時代の雑誌の意義って何よ?

 「雑誌おもしろいと思うけどなぁ」(鈴木)


○山形ブログのインセンティブは金

「スポンサー付いてるよ。マイクロソフト。よい子のみんなはだまされちゃダメだぞぉ〜」



 いつもながらすごくおーざっぱで申し訳ないが、だいたいこんな感じ。最後のほうの「ネット時代の雑誌の意義」っていうのは持ち越しテーマとしてそのうち扱ってくれることだろう(仲俣さんとか柳瀬さんとかいるし)。あと、以上を参照しつつ冒頭のmixiインタビュー記事に戻ると、ミクシの成功というのはミクシ自体の運営努力というよりもearly adopter(opinion leader)の営為(ノリ)に依るところが大きい。

 その祭りをミクシ側が後方支援して盛り上げたという側面もあるのかもしれないが、opinion leaderの囲い込みとか勧誘に際して、ミクシ側が積極的な行動に出ていたかといえば疑わしい。オープンソースコミュニティの例をとっても分かるようにコミュニティ運営においてはopinion leader的なユーザー(コミュニティの世話役的なユーザー)の存在がものすごく重要になる。ミクシが本気でSNS運営していくつもりならこの辺りに対してなんらかのアクションを起こしたほうが良いのではないか?(ベタにカネだとそのほかのユーザーのやっかみとかあってめんど臭そうだからもうちょっと洗練された形で)



 そんなこと思いながらこのエントリあげる用にぶくま検索してたらfinalventさんの以下のエントリ発掘


ブログと論壇誌メモ(@finalventの日記)
http://d.hatena.ne.jp/finalvent/20061011/1160563061


 いつもながら示唆に富んでるけど、この回は特に(・・突っ込むまい)。blogあるいはそれに類する言説行動に対しては、やはりある程度のカネで「インセンティブ+責任」を管理したほうが良いのだろうか・・そういえばtokurikiさんとこに似たような試みについてのエントリがあったけど、小銭だしなぁ。。(おーまいにうすは論外)



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関連:
ブログと金銭的インセンティブの辺り(@極東ブログ)
http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2007/01/post_ea62.html


ブログ、やはり「形」で残したい 自費出版が増える (@イザ!)
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/it/internet/39009/


ブログネットワークのFM,マスメディアに匹敵する勢力に(@メディア・パブ)
http://zen.seesaa.net/article/30682258.html


米国の新興ブログ出版社,新しいメディアビジネス確立へ(@メディア・パブ)
http://zen.seesaa.net/article/6116104.html


勢いづくブログ集団のFM,今年は5000万ドルの売上を目指す(@メディア・パブ)
http://zen.seesaa.net/article/32936105.html


コミュニケーションの2段階の流れ仮説
http://gc.sfc.keio.ac.jp/class/2003_14109/slides/03/20.html

http://www.oak.dti.ne.jp/~xkana/psycho/social/social_17/index.html



タグ:2ch blog mixi SNS myspace
posted by m_um_u at 08:29 | Comment(0) | TrackBack(1) | メディアこのエントリーを含むはてなブックマーク
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Excerpt: 「「わたし」対「わたしたち」――mixiと日本文化に挑むMySpace」2007.2.16 @ITmedia 「わたし」中心の自分指向のMySpaceと、ユーザーが群れを作る「わたしたち」中心のmi..
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Tracked: 2007-02-19 07:09
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