日本人と日本文化 (中公文庫)
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司馬 遼太郎 ドナルド キーン
中央公論社
売り上げランキング: 16745
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おすすめ度の平均: 

日本文化の奥深さ
とても安心感のある書です
日本人より日本人らしいキーン氏。
暇つぶしには最高でした。
対談本でもおもしろいおすすめ理由としては「新書」「対談集」にしては得るものが多かったので。オラが歴史そんなに詳しくないのもあるんだろうけど。
一個ずつ追っていくとキリがないのでなんとなく覚えてたところをつなぎ合わせつつ全体で語られていたことを思い起こすに「日本人、日本文化とは中国とか西洋的な“ますらお”なものではなく“たおやめ”なものではないか?」というのが印象的だった。
「ますらお」は男性的なそれ、「たおやめ」は女性的なそれ。
ひらがな文学とか日本の日記文化に代表されるような目的合理的な事実記述ではなく、「自分の息子が亡くなって悲しい」みたいなことをもそもそと書き綴っていくようなともすれば「女々しい」とも言われそうな叙情性にこそ日本文化的な特質があるのでは?、と。そうなった理由は「日本では女性の地位が高かったからでは?」とされていたり。
この辺りの記述は一時期言われていた日本的なblogの可能性の話を想い起こさせた。
blog黎明期のころにアメリカ的なジャーナリスティックなblogの有り様に対して一時期日本のそれもalternative mediaとしてCGM型のジャーナリズムとして機能されることが期待されたりしたんだけど、そういった動きに対して「日本のwebには日記猿人とかに代表されるような日記文化があり、そういうのはもともと日本の日記文化的特性を受け継いでるんじゃまいか?(なのでこれからも日記的だと思う)」みたいなギロンがあった。静大の赤尾せんせとかがやってたやつだけど。
そのときも「日記的なもの」の可能性というのははっきりとはしなかったんだけどtwitterとかやるようになってその辺がもうちょっと分かるようになった気もする。
通常ならニュース性(新規な情報性)がないような「ふつうのひと」の「ふつうの生活」や思いがそのまま情報として流れ共有されていくということ。「ふつうなら“ニュース性がない”と排除されていたようなもの」が明示化され見えているということ。現時点ではその有効性というのはよくわからないけどなんかそういうのは可能性があるように思う。
もしくは「語りえぬもの」をそのまま表せるような可能性。ナラトロジーの形式からは漏れるような複雑な思い、その形式に落とし込むkとで変化してしまうびみょーな思いの素、雰囲気がそのままの形で記録されていく。
それは可能性のひとつであるように思う。
閑話休題
そんな感じで日本人というのはもともとわりとゆるい感覚というかしなやかな感覚をもっていたみたい。それは日本人の戦争観や宗教観にも表れる。
関が原にしても太平洋戦争にしても日本の代表的な戦争を振り返ると合理性に基づいた長期的な戦略性はなくてその場のノリというか、周りとの関係で決断を下していたりする。なので「裏切り」というのが重要なファクターになることが多い。「裏切り」などというのは戦略を考える場合はイレギュラー的な要素に過ぎないわけだけど、日本ではそれがメインの要素であり、裏切りを誘発させるような事前の交渉によって勝敗の帰趨が決してたり…。つまり実際のオペレーション(戦術)レベルとかそれ以前の戦略レベルといったその場に臨む正当な手続きの過程によって是非が決まるのではなく、それ以前の「根回し」的なものによって決まっていく。
個人的な感覚としてこれは現在の裁判でも国会の討論でも同じように思う。
それをして「非合理的」とするか「明示知以前の暗黙知的な特性が強いだけ」とするかは意見が分かれるだろうけど、少なくとも西欧人からすると「非合理的」に見えるだろうな。「だったらなんでオペレーションするんだ?」って感じで。
宗教にしてもそんな感じで仏教にしても儒教にしても吸収はするけれどその色一色に染まることはなく「庶民の生活感覚として骨の髄まで染み入る」というようなことはなかった。武士なんかはたしなみとして儒学なんか収めてたし一部の庶民にも教養として伝わってはいたけど骨身に染み入るようなプロトコルではなかった。たとえば「仁義礼智信」がタテマエ的な規則としての「律」となるようなことはあっても庶民の根っこの部分のモラルとなっていたわけではない。
「モラルというものはお箸の使い方とか、お辞儀の仕方とかを背後で支える思想、そういう日常的な秩序が儒教であって、四書五経を読んでモラルが出来上がるわけではないでしょう」(司馬遼太郎)
日本人のモラルはそういった律や宗教的なものからというよりもむしろ「世間」に対する「恥」的なものから生まれていったのではないか?、と二人は言う。
この辺は同意しつつも「世間」とか「空気」とかはつかみづらいよなぁ。。とかとか。まぁテーマではあるからほかの本読みすすめてみるけど。とりあえず戦争における決断にしてもモラルにしてもそうだけど日本人というのはけっこう感情的(?)なのだなぁとかなんとか。
あとは細々としたこととして
・「日本的な美って金閣的なものよりも銀閣的なものだよね」「金の文化は外国への意識とも繋がってるような(cf.信長→秀吉)」
・「サムライ的“忠義”意識ってもともとは直近の上司に対する戦場における“功労→恩賞”的関係であってその上の顔も知らない殿様に対する死をとしたものではなかったはず。それが変わっていったのは江戸の封建制以降かね」
・「仏教などに見られるような日本的な宗教の説得力って教義とか説法以前に仏教美術的なものだったのでは?」
・「江戸の終わりごろに地方の小藩で学問が盛んになったのは、小藩には財力→武力がなかったため学問を名物にしようとしたため」
そんで今後の課題図書
・「日本的なるもの」
果てしなく美しい日本 (講談社学術文庫)
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ドナルド キーン
講談社
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日本文化の素晴らしさ
おなじみドナルド・キーン氏。能・文楽・歌舞伎 (講談社学術文庫)
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ドナルド キーン
講談社
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of all the theatres probably No makes the greatest demands on the audience※上記は「精霊の王」からの「能」興味つながりで
本居宣長〈上〉 (新潮文庫)
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小林 秀雄
新潮社
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とてもシンプル
正直に言おう!
書評に
信じ、愛する哲学
歴史好きには是非お薦めしたい1冊です本居宣長〈下〉 (新潮文庫)
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小林 秀雄
新潮社
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(承前)
小林秀雄氏のファンのみならず、歴史好きの方にもお薦めです。ついでに中原中也との三角関係とか
中原中也と小林秀雄と長谷川泰子の三角関係 - 教えて!goo
http://oshiete1.goo.ne.jp/qa38512.html
・「世間」のような日本的なるものが作られていった外部要因としての政治経済的な歴史
muse-A-muse 2nd: 「へうげもの」をめぐって武力と資本とアートな話
http://muse-a-muse.seesaa.net/article/119488882.html
同様の理由としての天皇制
muse-A-muse 2nd: 原武史、2009、「鉄道から見える日本」
http://muse-a-muse.seesaa.net/article/123714090.html?1247833040
「世間」とか「恥」関連だとベタだけどこの辺
菊と刀 (光文社古典新訳文庫)
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ルース ベネディクト
光文社
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戦後の日本人論はここから始まった「世間」とは何か (講談社現代新書)
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阿部 謹也
講談社
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東西の個人と社会そして「自由・平等・平和」の成り立ち
世間は何かは人それぞれ
「世間」は空気のように見えない、感じない
我々が生きる日本社会の特質
世間の謎学問と「世間」 (岩波新書)
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阿部 謹也
岩波書店
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講義に出て直接教えを請いたい
ためになったと思う方もいるだろう
悩める学生には星5つ!阿部さん見るんだったらヨーロッパの基層というか網野善彦的な庶民生活の基層性みたいな感じでこの辺も見ときたい(むしろぼんやりとこの辺読みたい)
ハーメルンの笛吹き男―伝説とその世界 (ちくま文庫)
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阿部 謹也
筑摩書房
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世界に誇れる研究
良書とはこういう本です
読み物としても楽しめる一冊
想像力をかきたてられた
自分の意見を!中世を旅する人びと―ヨーロッパ庶民生活点描 (ちくま学芸文庫)
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阿部 謹也
筑摩書房
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中世賎民の宇宙―ヨーロッパ原点への旅 (ちくま学芸文庫)
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阿部 謹也
筑摩書房
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中世の再発見―対談 (平凡社ライブラリー (66))
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網野 善彦 阿部 謹也
平凡社
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歴史家の対話














