2009年06月04日

駄菓子もまた是し

Morality comes with the sad wisdom of age, when the sense of curiosity has withered.
-Greene, Graham







ちょっと前にこういうエントリ見て、


ネットで書いてるとなんで文章力落ちるんやろ - Hopeless Homeless
http://d.hatena.ne.jp/akio71/20090207/p1


ネットを足場にして、長期間文章を書いていると、文章力がみるみる落ちていく。

自分でも「ブログ書いてると文章の基礎体力落ちるなあ」と実感してますし、古くはニフティ時代に栗本薫さんが、会員制パティオで毎日毎日、全員に全レスしてくうちに、本業の小説の文体までグダグダのめためたになったのを目撃しました。何十人に全レス、それにレスあったら更に返信しかも長文っていう情熱は素晴らしかったんだけど、どんどん「……で、何が書いてあるんだろ?」とわかんなくなっていった。

仕事でも、ほぼ、仕様書以外は「台詞、ト書き、終了!」なので、台詞や物語の筋道は書けても、情景の描写だとか、動きを読みやすくわかりやすく伝える技術、が、みるみる落ちていきます。

語彙も減ります。




わりと気にしてたことではあったのでひっかかった。

たしかについったーやるようになってblog書く気が減ったなぁとは思う。

んでもこういうのって新しいメディアがでてきたときには必ず出てくる類の話で、その意味では「ワープロで書くようになると文章力落ちる」→「ネットで書くようになると文章力落ちる」「ケータイで書くようになると文章力落ちる」→「ブログやるようになると文章力落ちる」→「ついったで書くようになるとブログ書く気もなくなる」、的なことがいえるわけだし…。

まぁそれもないとはいいきれないけど


そういうのがもしあるとしたら、イノベーション→簡単・便利によって解決されたと思われていた不便や面倒さの中にこそ創造のエッセンスもバンドリングされていたのかな?とも思うわけだけどもうちょっと簡単に考えると、メッセージが発せられるその場において文脈を共有するようになるとはじめての人に説明するように詳述しなくても良くなって説明や表現がゾンザイになるとかそういうのかなぁ、とか。


てか、個人的にも心理とか情景の描写をゾンザイにして掘り下げてく集中力が続かなくなっているのは問題だなぁとか思ったりしてるのでやっぱポメラ買うか。まだ触ってないけどあれはなんか文章に集中できるツールが欲しい気もする。いまはメインPCから離れて寝床でEeePC使って書いてるけど、やはりちょっと書きづらいな。キーの幅が狭いので。支えは書見台みたいなの買ったので割と大丈夫なんだけど。

もうちょっと自然に、違和感なく思考が吐き出せるツールがあると思考のノリも失われずにリズムが出てきて創発しやすいのではないかとか期待してるんだけど。そういう意味ではワープロなど筆記ツールの変化による思考や文章の長さの変化というのはあるだろう。てか、「手書き時代に比べてワープロになると確実にレポートの文字数が増えた」、とかいう話もあるし。

ワープロの場合は手書きに比べて編集の可逆性が高いしなぁ。。



閑話休題



そんな感じでライティングメディアの技術発展によってむしろ思考というか文章は長くなった面もあるようにだけどコミュニケーションメディアの発達によって文章を他人に吸い取られるみたいなのはあるかもしれない。コミュニケーション論的には相手のスキーマにのっとられるってことだと思う。ついったとかほかのメディアでもそうだけど、それ見てるうちに自分が何やろうとしてたか忘れるみたいなあんなの。

ついったなんてのはたいした話題でもないことが多いので侮ってたりするんだけど意外と吸い取られたりする。文体→思考様式なんかも知らないうちに影響受けたり。


そういうのに対して自分の表現というか思考の幅を守るためにどういうことをすべきなのか?


やはりぢみに良い文章読んだ後でその高揚感を自分も文字で刻んでいく、みたいなことだろうか。習字みたいに文章とか文体の集中力もトレースするところがあるのでなんか読んだあとに読んでたテクストの集中力を再現させるような感じで書いていくとよさげなように思う。

んでもあまり修辞や形式に引きづられて、いつの間にか「オサレ文体はできてても自分のほんとに思ってたこととは違うんじゃ…?」
ってならないようにご用心。

けっきょく文章力というのは「人にわかりやすく伝える」ってのもあるけど「自分の中にあるぼやーっとしたものを表せる能力」ということで、そのための語彙であり文体だったりするわけだし。



あとは孤独というか、自分の内奥の声に耳を傾ける時間が必要だろうか。その声はとても微かで小さいので他人の声や雑踏の中ではかき消されてしまうかもしれない。だから静かにその声に耳を傾ける環境、集中力が必要なんだ。自家中毒にならない程度の孤独と集中力が


要は「ついったほかコミュニケーションメディアが悪い」ってことでもなくバランスなんだと思う。どんなに体に良いとされるものでもそればっか食べてたら不健康になるわけで、それと同じようにひとつの環境に依存しすぎるとつまらなくなるのだろう。

ついったやblogは駄菓子や軽食のようだけど、駄菓子もまた良いよ(食べ過ぎなければ




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関連:
ライティング スペース―電子テキスト時代のエクリチュール - 雑記帳
http://d.hatena.ne.jp/ced/20061001/1159774865

※書く気が筆力が減る理由関連で。てか、こちらのエントリのほうが「ライティングスペース」についてきちんとまとめてはるので参考になるかも。

「ライティングスペース」中古で安くなってるから自分で買う用にリンク

ライティング スペース―電子テキスト時代のエクリチュール
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関連で言うとキットラーなんか思い浮かぶけど

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おすすめ度の平均: 2.0
2 いまふたつ




<新メディアの登場以前にメディア使用のモード(土壌)が少しずつ変化していっていたから新メディアが受け容れられた>って視点的には「書き込みシステム1800/1900」のほうが良いのだろう。

むーたん:キットラー概説メモ + 音読・黙読 ら辺
http://morutan.tumblr.com/post/20792167/m-um-u

m_um_u アンチョコ本によると、キットラーの視点はメディア変遷の歴史を「文字・文書」の時代と「技術メディア」の時代に分けるんだそうです。んで、前者が「手書き文字」と「印刷」、後者が「電話とアナログ技術」に分岐する。

m_um_u それ以前の時代は特に問題にしてないみたいだけど、文字移行にクローズアップしてる、といってもいい。で、日本で有名なのは「グラモフォン〜」だけどもう一個の主著に「書き込みシステム1800・1900」というのがあるのだそうです。ここで技術メディア以前のリテラシーの浸透を追っている

m_um_u んで、そういった形でモードが浸透することによって社会全体の認識が変わっていく(それと相関して社会システムも変わっていく)ってのがメディア論的視点ですね。

m_um_u つか、「グラモフォン」だけみるとメディア論(技術決定論)ってみられがちだけど「書き込みシステム」のことも考慮すると、表象の操作と認識の変容を地味に追っている、とみたほうがいいのかも。その意味でラカンやら絡んでくるんでしょうね(わたしあの辺わかんないですけど


書評空間:UMATフォーラム@書評空間: 『書き込みシステム1800/1900』(未邦訳)フリードリヒ・キットラー
Friedrich A. Kittler, 1985=1990, Discourse Networks 1800/1900, Stanford University Press
http://booklog.kinokuniya.co.jp/umatforum/archives/2007/04/discourse_networks_18001900fri_1.html


「書き込みシステム」については未邦訳ということで上記まとめのリンク先の本とか、たんぶらーでいったアンチョコ本なんか買っといたほうがいいのだろうか。


〈メディア〉の哲学 ルーマン社会システム論の射程と限界
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5 良かった!!



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3 理論と事例の乖離が。。。
5 『言説分析の不可能性』では?



大黒さんのアンチョコ本、アマだと在庫切れだのう…






タグ:メディア論
posted by m_um_u at 06:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記このエントリーを含むはてなブックマーク
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