2009年05月14日

「へうげもの」をめぐって武力と資本とアートな話

先日「へうげもの」を読んでおもしろかったのでご紹介がてらなんか書こうかと思ってたんだけど、ちょうどついったで@kimarxさんと話したことがそれ関連にもなるかなぁということでまとめて。

とりあえず「へうげもの」の紹介から。

へうげもの―TEA FOR UNIVERSE,TEA FOR LIFE (1服) (モーニングKC (1487))
山田 芳裕
講談社
おすすめ度の平均: 5.0
5 物に執着している人に
5 さすがとしか
5 新たに天才発見(遅)
5 物欲か?出世か?
5 キュ〜トな戦国時代



いまのところ8巻まで出てる。

へうげもの 8服 (8) (モーニングKC)
山田 芳裕
講談社
おすすめ度の平均: 5.0
5 いぶし銀の8服/策謀の胎動が見え隠れする
5 へうげもの8服、緊張感のたかまる金と黒
4 重い、しかし笑える
5 見つめて、、削いで、、最後に残ったものこそ
5 刻々と近づく利休の死、脈々と継がれる明智の遺産―



概要としては織田→豊臣時代の茶の湯な数奇な話。焼き物の「織部」で有名な古田織部が主人公だったりする。


織部流 - Wikipedia


物語としては織部が千利休に師事しつつ茶の湯(あるいは数奇)の体得と武功をあげての成功の二兎を追おうとするも…的な話。軸としては織部自身よりも利休と秀吉の対立への新解釈がポイントっぽい。

この時代の「数奇」というのは茶の湯関連の逸品を蒐集癖ってことなんだろうけど、ファッションとかアートとかいった意味合いも含むみたい。かぶき者まではいかないけどそれに近いような。

そんで、この数奇(あるいは数奇の前衛であり筆頭芸術としての茶の湯)を通じて利休が暗躍し、秀吉をもおびやかすほどの人脈を作り上げていった、みたいなところがおもしろかった。

歴史の覇権を握るには武力+政治力(リバイアサン)か、資本とそれを元にした武力や人的ネットワーク(ベヒーモス)かのどちらかが必要になると思われるわけだけど、「へうげもの」では「利休たち堺の商人ネットワークは資本という力以外に茶の湯によって独自の人のつながりをもっていてそれが力になっていた」、って描かれかたをしてた。

この辺の詳細はあながち「あれはマンガだから 笑」ってこともないか、と。

こんな感じで「へうげもの」の真骨頂は「武でも財でもなく芸(あるいは文化)で天下をとろうとした」ってところだと思う。んでもやっぱ「文化以前に武力や財力の基盤が固まっていたから」ってのもあるとは思うわけで…。その辺の話をきまるくすさんともそもそ


てか、最初にきまるくすさんがこんな感じでつぶやいてて
 

 

 

 

 

 

 

Kim, YiChul 金利哲
@kimarx
Amino does not want to recognize that Behemoth always defeats Leviathan.
Murakami, a famous pirate clan in Japan, was defeated by Toyotomi. 
(2009-05-13 14:20:01)
link
Kim, YiChul 金利哲
@kimarx
Toyotomi first controlled agri-culture entirely in Japan and he would be representative of Behemoth. 
(2009-05-13 14:24:31)
link
Kim, YiChul 金利哲
@kimarx
Ariam lost their territory since they were converted to Christianity. But they made million by trading with Europeans. 
(2009-05-13 14:37:02)
link
Kim, YiChul 金利哲
@kimarx
When Arima was converted to Christianity, they would be converted from
the territorial to the maritime. 
(2009-05-13 14:40:45)
link
Kim, YiChul 金利哲
@kimarx
OUchi Yoshitaka is the lord of a maritime samurai clan and he permitted Christian missioners to do their missionary work. 
(2009-05-13 15:15:17)
link
Kim, YiChul 金利哲
@kimarx
That is, the word 'Christianity' can be associated with Leviathan and the maritime in Japan. 
(2009-05-13 15:19:45)
link
Kim, YiChul 金利哲
@kimarx
He might find conflicts between the territorial and the maritime as Carl Schmitt who describes history as those conflicts. 
(2009-05-13 16:55:54)
link

これみて別件で見てたエントリ思い出した。


スピリチュアル・ブーム(2) - 小田亮のブログ「とびとびの日記ときどき読書ノート」


全体的には「昨今のスピリチュアルブームと一昔前のニューエイジ系とかとはどう違うのか?(あるいは同じなのか?)」的な話なんだけど関連で出てきたニューアカデミズムの話がおもしろかった。最近、網野本とか中野本読んでたもので。

該当箇所はこの辺(まるっと引用)

ニューエイジ運動が、「部分的・選択的コミットメント」による小集団によって、既成の集団や共同体の垂直的な地位・役割関係(要するに「しがらみ」ですね)から離脱しようとしていたのと同じ時期に、既成の秩序の垂直的な地位・役割関係を断ち切るための手段として、より強力な方策が夢想されていました。夢想していたのは、ニューアカデミズムと呼ばれていた人々、すなわち、中沢新一さんや浅田彰さんや柄谷行人さんや蓮實重彦さんたちです。そして、その方策が、資本主義の力によって既成の共同体や集団の垂直的な地位・役割関係を断ち切っていくというものです。中沢新一さんの叔父さんである網野善彦さんも、1970年代に、「アジール」という概念やターナーのコミュニタスなどの概念をも取りこんだ「無縁」という概念を提示しましたが、80年代になると、中沢新一さんの影響で、「無縁」と資本主義の結びつきという議論を始めます。浅田さんも、マルクス主義者としてスタートしたのに、ドゥルーズ=ガタリの『アンチ・オイディプス』の議論などを援用して、資本主義による解放というヴィジョンを提示します。バブルだったんですね*6。この「資本主義による解放」というヴィジョンもまた、「関係の複数性」ということを消去して、「無縁」(という関係の場)が実現するためには、すべての既成の垂直的な地位・役割関係を断ち切らなければならないという固定観念の現われといえるでしょう。


網野史観とかそれに基づいた中野新一さんのお話だと天皇制打倒ってのが第一に来るので「天皇を中心とした支配層の作り上げた歴史に物申す!」(そのための語りえぬ民たちの歴史)って感じになるように思うんだけど、そういう史観がマルキストドライブすぎるとちょっとブレが生じるのかなぁ、とか思ってたわけだけど。引用箇所的には、「既製の過去のしがらみを断ち切るための手段としてなにかを求めた」→「網野さん的には“無縁と資本主義のつながり”というのがそれに当たった」、ってことになるのか。

「無縁と資本主義」って具体的にどんなのか、網野本もまだ4冊ぐらいしか読んでないのでよくわかんないんだけど、強いて言うと「異形の王権」とか「無縁・公界・楽」で示されたような歴史の表舞台的なところにいない人々による独自の経済圏(あるいはネットワーク)辺りの描写だろうか。それと現代的な資本主義というのがどういったつながりがあるのかよくわかんないんだけど、柄谷さんなんかはNAMっちゃったしなぁ。。あんな感じで「メインじゃない経済圏でも集まれば大きな力になるよ」的な感じだったのかなぁ…(妄想)



まぁ、それはそれとして


リヴァイアサンとベヒーモスの相克の歴史としてはたとえば堺のような商人ネットワークがどのように発生し自律的な力をもっていったか、ってことが気になる。

あと他にも、メインの政府的なものとは別に冨や武力の集中していたとこがあったのか、とか。

前者についてはヒックスの「経済史の理論」辺りが参考になるっぽい(>ヒックスは商人資本が海洋的なものから、そして封建制が領土的なものから生じていると考えているようです。彼はシュミットに近い)

※ここでいわれている「海洋的」は海のネットワーク(経済圏)、「領土的」は陸のネットワーク(経済圏)


経済史の理論 (講談社学術文庫)
J.R. ヒックス
講談社
売り上げランキング: 100479
おすすめ度の平均: 4.0
4 この本は・・・



海の道ということではこの辺とかも


松岡正剛の千夜千冊『海上の道』柳田国男


海上の道 (岩波文庫 青 138-6)
柳田 國男
岩波書店
売り上げランキング: 64918



関連マンガとしてはこの辺(「陸を道を中心とした文化が海の道の文化を滅ぼしていった」「海は産み、陸は戮」)




南北朝辺りの海賊描写(沖縄と中国との貿易も感じさせるもの)としてはこの辺

カタリベ (SPコミックス)
石川 雅之
リイド社
おすすめ度の平均: 3.0
4 アクションマンガ
3 完結までもっていってくれてれば・・・。
2 かもしが足りない
4 海洋伝奇冒険活劇!




あとは同時代からそれ以前(南北朝辺りから)の海賊勢力を洗ったりとかか。

この辺りはもっかい網野本見たり、あるいは司馬遼太郎の「日本史探訪」も買ってみたので見てみようか、と。



とりあえず「へうげものおもしろかったよ」って話でした





--
追記:
シュミットのこれもいいらしい(メモメモ)


陸と海と―世界史的一考察
カール・シュミット
慈学社出版
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posted by m_um_u at 22:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記このエントリーを含むはてなブックマーク
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