2008年07月26日

「在日」を問題とすることについて

この辺見てたら積読にしてた「コリアン世界の旅」見たくなったのでちょっと読んでみた。


パチンコで現金を得るのは違法賭博だと思うのですが、検察が摘発しないのはなぜですか? 警察が摘発しないのは、利権関係だと分かるのですが.. - 人力検索はてな


パチンコと在日、警察、ヤクザ【『コリアン 世界の旅』  野村進 著】 匿名取締役


おそまつな選択肢(在日か、日本人か)。 - hituziのブログじゃがー


コリアン世界の旅
コリアン世界の旅
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野村 進
講談社
売り上げランキング: 53852
おすすめ度の平均: 4.5
2 「差別」と「区別」
4 とっかかりとして
3 手垢のついたテーマを新鮮に
5 著者の成熟した視点を感じさせる
5 在日


(※文庫もある)


それぞれ簡単な要約とか感想とか


パチンコの話は「在日の食い扶持であり北朝鮮への主要な送金源だから圧力とか賄賂とかしてるんじゃねえの?」って思ってたら事情はもうちょっと複雑だった。「コリアン世界の旅」からの抜粋・要約にもあるように在日の人たち自身もこの仕事を好きでやっているわけではないらしい。それは戦後間もない頃にパチンコに染み付いた悪いイメージによるものでもあるし、現在のイメージそして警察との関係がある、と。

最初のリンク先の質問でもあったようにパチンコというのは明らかに射幸性の高いギャンブルなわけだけどそれをギャンブルとして扱っていないのは警察とパチンコ業界との関係があるみたい。癒着とか天下り先とか。

なので「在日の人たちが摘発をしないように率先して検察、警察に働きかけている」というよりは「警察のほうが癒着を薦めるような構造を作った」といったほうがいいみたい。

その上でhituzinosanpo(あべやすし)さんのエントリだけど(※コメント欄も)


おそまつな選択肢(在日か、日本人か)。 - hituziのブログじゃがー


率直に言うと最初にこのエントリを見たときには気にしすぎなんじゃないのかなぁ、と思った。「GO」「セキ★ララ」見てても在日3世というのはそれほど自分の出自を気にしていないんじゃないか、って。

「出自を気にしていない」という言い方もちょっと違うか。「そんなの関係ねーよ」「国境なんかオレが消してやる!」的に言える積極性というか、1世、2世の頃とは違ったポジティブさがあるのかなぁみたいな感じ。こういうのは被爆3世的なものにも通じそう。1世や2世的な時代には社会からの偏見や差別が辛かったのでひとつひとつの問題を掘り起こしてつぶしていく必要があったけどいまはそんなに問題もないので却ってそういうことをいうことによって奇異な目が集まるのってどうなんだろうというか…なんか複雑な感じがする。

てか、hituszinoさんとこのエントリはそういうのとは違って「在日」という言葉に含まれる権力性、見えざる権力性を問題にしたものなのだろう。たしかに「なぜ韓国系日本人ではなく在日と呼ぶの?」っていうのはある。それ関連の話は「コリアン世界の旅」にも出てた。日本と韓国が戦争するようなことになったとしたら「自分は韓国人や日本人に銃を向けられるか」ということについて、にしきのあきらさんがインタビューに応じた箇所


「戦争中、日系アメリカ人はほとんどヨーロッパ戦線に送られて、日本の同盟国と戦った。俺も同じように志願するだろう。韓国人に銃を向けないですむ、ほかの戦線で戦わせてくれ、と」
 この話をきいたとき、私はそれまで脳裏でうまく整理することができずにいたにしきのの考え方を、ひとつのアナロジーに収斂させることができるのではないかと思った。つまり、彼のものの見方は日系人的なのである。それは、現在の国際社会の中でより一般的な価値観ではあるけれど、日本への貴下者のあいだでは少数派の意見となる。日本では、韓国・朝鮮から帰化した人の多くが、同胞からは裏切り者視され、日本人からも異分子扱いを受けるなかで、帰化した事実に対しても日本という国家に対しても屈折した感情を内向させてきた。そうならざるをえなかったのである。
 こうした流れの中ににしきのを置いてみると、私はある感慨を禁じえない。やはり時代は変わりつつあるのではないか。誤解を恐れずに言えば、にしきのはそのような時代の「新しいタイプの韓国系日本人」と言えるのではないか。



帰化の問題については在日1世や2世は複雑な感情を抱えてきたらしい。自分達を差別し不当な扱いをしてきた人々の国に帰化するということ、自らすりよって「同化」するということは屈辱以外のなにものでもなかった、と。しかしにしきののような世代の人々にはそれがないのかもしれない。それがないがゆえに危うい面もあるのかもしれないけど。たとえば自分たちの歴史を忘れていく問題のようなもの。歴史を忘れ自分の民族性ばかりか親やそふぼの民族性をも否定していくかもしれない危険。

そういう危険もあるのだろうけど差別と戦うために特化したがゆえに硬直化した思想とか不用な争いやコンプレックスを抱えるのもどうかと思う。


そういった中でこの辺りを見つつやはり時代は変わりつつあるのかなぁ、とか


J-CASTニュース : 中村ゆり、南果歩「カミングアウト」 「在日」隠す芸能界に異変


南果歩さんのコメントが印象深い。

「事務所の考え方はそれぞれで、業界に特別何かがあったというわけではないですが、そんな時代になってきた、ということではないかと思います」 

「何か状況が変わったか、というと、本当に何も変わっていないんですよ」

 

ただ、それは芸能界という特殊な環境だからいえることなのかもしれない。「コリアン世界の旅」にもあったようにそれまではふつーに暮らしてきたのに就職や結婚などに際して民族差別にさらされる恐れがあるらしい。具体的に言えば在日は地方公務員になれなかったり、民間の大企業に就職することさえ難しいということ。

「そんな時代になってきた」とは言ってもこの辺の状況は変わってなかったりするのだろうか。



であるならば、やはりコツコツと声を上げていくことは意義あることなのだろう。それ自体が目的化して祭りのようになってしまうのはどうかと思うけど




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関連:
muse-A-muse 2nd: 8・6祭りへ行ってきたよ

運動としての「ヒロシマ」へのびみょーな違和感について。こういうのは在日三世と呼ばれる人々にも共通するのかもしれない。しかし「そんなたいした問題でもないんだからカリカリすんなや」的なことを部外者が言う暴力性というのは自分的にも心得ているつもりで…


muse-A-muse 2nd: <ヒロシマ>ということ


そういう意味では自分の保守的変化のようなもの、あるいは他人事感みたいなものがあるのかなと反省してたりする





タグ:差別
posted by m_um_u at 23:00 | Comment(2) | TrackBack(0) | 社会このエントリーを含むはてなブックマーク
この記事へのコメント
『コリアン世界の旅』は講談社プラスアルファ文庫になっています。リンク先のは、もう売り切れのようですね。わたしの手もとには おいてないはずですが、そうそう、にしきのさんのインタビューが のっていましたね。

「「GO」や「セキ★ララ」見てても在日3世というのはそれほど自分の出自を気にしていないんじゃないか、って。」と おっしゃるのには、すこし苦笑してしまいます。いや、『GO!』は原作も映画も名作ですよ。『セキ★ララ』は しりませんでしたけど。

わたしは現実のやりとりをもとにして文章をかいています。それにたいして、文学や映画などを判断材料にして、そうでもないんじゃない?と いわれてしまうと、こまってしまいます。しかたないことかもしれませんが。

もちろん、わたしもポジティブさはあるように感じています。現実のやりとりをみても。

わたしの記事のコメント欄にも かきましたが、最近では「コリアン・ジャパニーズ」や「韓国系日本人」と自分を規定するひとが、どんどん でてきています。『GO』の原作をかいた金城一紀(かねしろ・かずき)さんも「コリアン・ジャパニーズ」を名のっています。『GO』は、アイデンティティというものの性質を、明確にえがいていますよね。たしかに、あのような名作は時代の変化を感じさせます。

いま、いちばんアッケラカンとしているのはニューカマー1世の韓国人でしょう。くらいところが、ほとんどない気さえする。それだけに、「在日」にたいするまなざしも、つめたい傾向があるのですが。

「出自を気にしない」もなにも、そもそも気にする必要など、まったくないのですからね。時代は、かわったようにも感じますし、かわっていないようにも感じます。
Posted by hituzinosanpo at 2008年07月27日 00:04
コメントありがとうございます。たしかにフィクションを元に議論を進めるというのは失礼でしたね。

ニューカマーの問題については今回はじめて知りました。ドライというか、歴史的遺恨をそれほど気にしないのかな。日本の韓国系の人たち、特に若い人たちなんかはそういう空気の変化の影響を受けているのかもしれませんね。

(『それだけに、「在日」にたいするまなざしも、つめたい傾向があるのですが』というのはきになりますが)

Posted by m_um_u at 2008年07月27日 06:03
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