2015年07月17日

三潴末雄、2014、「アートにとって価値とは何か」




アートにとって価値とは何か -
アートにとって価値とは何か -

アートにとって価値とは何か -
アートにとって価値とは何か -




このへんでうなうな見てきた現代アート関連の案内本として。三潴さんも小山さんたちと同年代(あるいは少し上)ということで同時代の話の別角度からの説明としてわかりやすかった。



「現代アート経済学」から簡単にメモ: muse-A-muse 2nd
http://muse-a-muse.seesaa.net/article/420137119.html

小山登美夫、2008、「現代アートビジネス」: muse-A-muse 2nd
http://muse-a-muse.seesaa.net/article/420849770.html

「芸術起業論」「芸術闘争論」「日本列島現代アートを旅する」: muse-A-muse 2nd
http://muse-a-muse.seesaa.net/article/421381762.html



章立てとしては

「日本の現代アートの評価」
「ギャラリストへの道程」
「ミヅマギャラリー奮戦記」
「世界を変えている注目アーティスト」
「日本の現代アートはグローバル土人の楽園をひらく」

ということで最初の章で日本の現代アートの位置について概括的に説明、それを踏まえて続く二つの章で三潴さんの歩みに重ねる形で90−00年代の日本の現代アートの興隆が語られている。たぶんもともとは一章の概括と「簡単な90ー00年代の日本の現代アートギャラリー語り」「日本の現代アートの注目アーティスト紹介」「総括」という形だったのではないかと思うのだけど、それらによりボリュームというか立体的な実感を付け加えたのが三潴さんの歩んできた道の語りだったのかな。


三潴さんの経歴が「学生時代に学生運動に傾倒した」とか「マルクス読んでうんたらした」というところはその後のアートに対する価値観にも関わっていて、なので「米帝の文化帝国主義的価値観は打倒しないといかんのですよ!(ダンッ」てかんじになるのかなあとかおもったのだけど、同時にアメリカを中心とした抽象表現主義的な現代アート以外のアートの価値を探るときに日本のオリジンとそれを結びつけて考えるというやり方は日本のマルクス主義の季節が過ぎた後、天皇制や日本の起源について再検討みたいな流れがあったことともリンクしてたのかなあとか。サヨク的価値観と歴史観を基本としつつ、ステーション'70というPR系のカルチャーサロンのマネージメントをしていたというのはバブル全盛へと向かう当時の東京の文化人的なところの中心に触れていたことを伺わせる。三島由紀夫さんとは実際に会ったことがあるとのことだし。印象としては松岡正剛さん的なあれ(「遊」とか)だったのだろう。

こういう人とルカーチの物象化と美学からアートの価値についてうんたら話すとどうなるんだろ?とかちょっとおもいつつ、そういった背景があるのでこういうアート観になるのだなあとか想った。否定とかでもなく、面白く読んだし。会田誠さんや山口晃さんをプロデュースした姿勢はわかりやすく面白かったのだけど(んでもこういう価値観かあChim↑Pomを認めるのは、とは)。


タイトルにもある「アートにとって価値とはなにか?」というのは現代アートにとっての価値とはなにか?ということ。すなわちニューヨークを中心とした抽象表現主義全盛の現代アート業界にたいして、あらたな価値を提示する場合、その価値とはどういったものか?(どういったものならば見る者にとって「価値あるもの」として受け入れられるのか?)という問題意識。そこで打ち出される価値の代表的なものは日本の伝統的な視角としての遠近法以前のフラットな視点とリアリティだったり、あるいは、抽象表現主義に分類されないけれど「ナンカオモシロイ」作品だったりする。そういった価値に基づいた作品はアメリカの抽象表現主義に基づいた文化帝国主義からすれば土人のそれと思われるかもだけど、土人-野生の思考だからこそやれることもあるんだぜ?的な。

村上隆さんの場合は「けっきょく現代アート市場は一定のゲームのルールがあって、そのルールを知らなければ評価されない(勝てない)。なので作品自体の価値がどうとかより、そのルールを知り、そのゲームに勝つということがまずもって大事なんだ」てスタンスで、なかばシニカル・ニヒリスティックともいえる現実主義で作品を工房していくけど、三潴さんの場合はそれを踏まえつつ「それでもアートの価値を見出したい」ということで、前者がポストモダン的相対主義とシニシズムだとすると後者はモダニズムの復権的なアレなのかなあとかなんとか。なので位相としてもマルクス主義系のフランクフルト学派(ハーバーマス)とかを想わせわかりやすいといえばわかりやすかった。





ひとそれぞれ好みとか価値観-リアリティの違いがあるだろうからこういうのが好き-ガッチリハマるひともいるのだろうけど、自分的には秋元雅史さんあたりがフィットするかなあ。三潴さんの心意気とかやってきたこと自体は良いなあとおもうけど。

んでもこの本を読んで会田誠さんや山口晃さん、鴻池朋子さん、池田学さん、宮永愛子さんあたりは見てみたくおもった。てよりミヅマアートギャラリーに一回寄ってみたく。



一般的には、90年代から00年代、あるいはそれ以前の80年代あたりの日本の現代アート界隈の様子が綴られているのがおもしろいかなあとかおもう。あとは会田誠さんとか山口晃さんとかが売れない当時の様子とか。







タグ:art
posted by m_um_u at 18:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記このエントリーを含むはてなブックマーク

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